新大学生、新社会人の最初の関門・「五月病」
五月病は「新生活最初の関門」ともいえる
新しい学校や会社に入ったばかりの4月は、新生活への期待や気負いからくる興奮が続き、毎日たくさんの刺激を受けることで活発に過ごすことができたかもしれません。しかし、5月に入り、ゴールデンウィークが明ける頃になると、体のだるさや重さを感じたり、睡眠をとっても疲労感が抜けなかったり、意欲の低下を感じたりする人が増えてきます。
こうした不調に加え、新生活の興奮が一段落すると、「期待していたけれどこんなものだったのか」「次は何に頑張ればいいのか分からない」という思いから目標を見失い、無気力、無感動に陥って心身の不調がさらに重くなってしまうこともあります。もしも五月病になってしまった場合、効果的な克服方法はあるのでしょうか? 五月病克服のポイントを産業カウンセラーが詳しく説明します。
連休明けは誰でも疲れやすい時期…気をつけたい症状とは?
新生活への違和感は誰かにとことん話そう
そして、飲み会、夜更かし、習い事などで疲れすぎないように気をつけ、休日も時間のリズムを崩さないようにして、心身の疲れを回復させることです。あせらずに少しずつ日々のペースをつかんでいけば、体の調子も回復してくるでしょう。
ただし、五月病が6月、7月まで続くような場合には、警戒してください。目的を見失った無気力、無感動が強くなる「アパシー」の状態が長引いている可能性があります。この状態を自覚した場合、そのモヤモヤした思いを誰かにとことん打ち明けてみるといいでしょう。アパシーについては、「長引いては危険!現代人をおそう無気力症」をご参照下さい。
無気力、無感動が強くなっているのは、新生活への違和感や「やりたいこと」とのずれが生じ、「現実」と「理想」にどう折り合いを付けるかが分からなくなっているからかもしれません。しかし、見方を変えれば、今こそその課題をじっくり考えるチャンスなのです。やる気が湧かない理由を理解して次の目標が見えてくれば、無気力、無感動からも脱却できるはずです。
5月の新人のストレスになりやすい「ピア・プレッシャー」
ピア・プレッシャーでますますストレスに
新生活の混乱に慣れてくると、周りにいる人たちとのさまざまな“レベルの差”が気になってくるもの。「ピア・プレッシャー」が強くなると、五月病的な症状を重くなってしまうこともあります。
たとえば新入生の場合、周りに優秀な学生が集まっていることに気づくと、途端に自分に自信が持てなくなってしまうこともあるでしょう。また、地方から都会の大学へと進学した学生は、都会出身の学生との違いに差を感じてしまうこともあるようです。こうした状況のなか、内向的な学生はますます内にこもりがちになり、外向的な学生は無理をして周りに合わせようとし、疲弊してしまうのかもしれません。
また、新社会人の場合には、職場で飛び交う専門用語や先輩たちがノルマをこなしていく姿に圧倒され、「早く一人前にならなければ」とあせりを感じ始めます。また、昨今の成果主義的な風潮から、新人でものんびりと構えていられず「周りの新人より“できる”印象を与えなければ」と、切迫感を感じている人も多いのでしょう。
焦りは禁物! まずは今やるべきことをコツコツと
周りの評価は気にしない。やるべきことを着実にこなす
自信を失い始めると、他人が自分より輝いて見えるものですし、周りの目が気になると、等身大の自分より大きくに印象づけようと無理をしてしまうものです。そもそも新人の数ヶ月で、本当の実力の差など分かるはずはありません。実力の差とは、やるべきことを何年も積み上げたうえで、初めて見えてくるものです。
大切なのは周りに振り回されず、急いで評価を求めず、コツコツとやるべきことをこなしていくことです。そうした日々が積み重なれば、自然に実力もついてくるものですし、目指したい方向性も見えてきます。あせらずに、まずは「やるべきこと」を着実にこなしていきませんか?
五月病を予防するゴールデンウィークの過ごし方は「五月病を防ぐ連休の過ごし方」で、五月に入ってからできる対処法としては「適度に休息、溜め込み禁物!五月病の乗り切り方」で解説していますので、よろしければこちらもあわせてご覧下さい。