体験談をまず作ってみる
自分の体験をたな卸しして整理してみる
たとえば、仕事がはかどらない部下に対して
「誰でも最初はやり方がわからないもんだ。だからがんばろう」
というのと、
「俺も10年ほど前に、プレゼンの準備をしていたときに、先輩が話していることの言葉を表面的に聞いていただけで、ことごとく食い違っていたときがあったんだ。なので、一度先輩にお願いして、自分のどこが違っているか聞いてみたんだ」
というのでは、共感性は変わるでしょう。それは、次にどんな行動を起こすかというモチベーションにも関わってきます。
体験談を選ぶ
それでは、職場で使える体験談をまず選んでみましょう。- 新人時代の体験
- 職務が変わったとき
- 大型受注したとき
- 物事が前に進まなかったとき
- 仕事が成功したとき
- 最もやりがいを感じたとき
- 自分が困難を乗り切ったとき
- 影響を受けた先輩との体験
■それが起こったのはいつか
「今から10年前のことだけど」「入社7年目で九州に転勤になって最初の月」
■そのとき、誰と関わったか
「直属の上司の○○さんが」「お得意先でいつも懇意にしてくれた○○さんは」
■そのとき、自分はどんな行動をしたのか
「営業で23件まわって、あと1件で終わり、というとき」「はっと気づいたらもう遅くて、猛ダッシュで走った」
■周りの様子はどう見えていたか
「残業をしていて、会社には誰もいなかったんだけど」「お客様がニコニコして話してくれて」
■そのとき、どんなことを思ったか
「もう、チャンスはこれしかない、と思った」「冷や汗がでて、ずっとどうしようと思っていた」
体験はできるだけ記述的に伝える
たとえば「りんご」と聞くと、ある人は真っ赤なりんごを想像するし、ある人は青りんごを思い浮かべます。しかし、「私が言っていたりんごとはこれです」とうさぎ型に切ったりんごを見せれば、みな「ああ、それね」と共感します。このように相手に伝えるときは、できるだけあなたが見ている絵を聞いている人と一緒に見られるように話すのが大切です。つまり、余分な説明を入れず事実のみを記述的に伝えることが肝心です。
「部長がほめてくれてうれしかった」
と言うのと
「部長は僕が営業先から戻ってくると、真っ先に立ち上がって僕の目に来て肩を叩き、『受注おめでとう。よくやったね』と言ってくれました」
とでは、共感の度合いは違います。