マンション購入術/マンション情報収集術

不動産の儲けの仕組みを知る5.販売の舞台裏(中編)(2ページ目)

シリーズ不動産会社の儲けの仕組みを知る」5回目は、「販売の舞台裏(中編)」をお届けします。2種類ある物件購入方法「先着順申込受付」、「登録抽選」。買い手にとっては、どっちがよいのでしょう。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

大規模マンションは分割販売が一般的

概ね100戸以上の大規模物件では、しばしば第1期50戸、第2期50戸というふうに、販売を2回に分けて、「登録抽選方式」を行うことがあります。この分割販売には、不動産会社にとって、つぎのようなメリットがあるのです。

〈「登録抽選方式」を行うメリット〉
・1回あたりの販売戸数が少ない分だけ顧客数の獲得が容易
一定期間に集められる顧客数には限度があるので、たとえば買い手が1カ月に50人しか集められなかったとすると、100戸のマンションは虫食い状態で50戸が売れ残ることになります。これに対して、分割販売によって50戸のみの販売にしておけば、全戸きれいに売りきることができる、というわけです。

・申込締め切り日を2回以上設けられるので、煽り効果が期待できる
締め切りがあると買い手の心理は、「どうせ買うなら売れ残りより希望の部屋のある今のうちに」という方向を示し、受付期間中に検討して結論をだそうという錯覚を持ちがちです。したがって、申込のスピードが高まるという効果が期待できます。第1期の販売で締め切りをせまり、第2期の販売でも再び締め切りを煽っていくことができるので、分割販売のほうが、営業チャンスが増えるというわけです。

・「第1期全戸完売」を広告にうたうことで、好人気イメージを定着させることができる
「100戸中50戸売れました」というより「第1期は全部売れました」と言うほうが、同じ50戸でも、以降の広告のインパクトは後者のほうが格段に強いですし、このほうが口コミ効果も高いと言えます。

・第1期販売をテストマーケティングとして位置づけることができる
もし第1期が完売を逃しても、第2期で販売態勢を立て直し軌道修正を図ったうえで、「新規売り出し」に再挑戦することができます。第1期の来場者の動向分析、媒体別野「広告効果等の検証を行い、より綿密な第2期販売計画を立案することができるのです。

・分割の回数分だけ販売のヤマをつくることができる
一括販売の場合は、集客→契約のヤマを1回しか造れませんが、2回に分割すれば2回のヤマを造ることが可能で、その回数に合わせて営業の集中力も発揮させやすくなります。中だるみの防止ができるというわけです。

・競争力がアップし、新鮮味も維持できる
1回あたりの販売戸数を絞ることで、買い手側にも、営業マン同士でも競争力が高まり、決定のスピードが高まります。また、分割販売では各期ごとに「新発売」をうたえるので、その都度わずかなりとも顧客に新鮮味を感じてもらうことができます。

このように、「登録抽選方式」は、売り手にとってメリットは大きいのですが、買い手にとってはどうでしょう。次のページで。
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