コーチングとコーチングスキルの混同

コーチング,部下育成

コーチングとコーチングスキルの違いを知ることが大事

1997年に初めてアメリカのコーチに接触したときの会話をよく覚えています。最初に聞いたことは、「What is coaching?」。その頃と比較すると、コーチングという言葉は企業のリーダーシップの醸成やマネジメント能力の向上として、人材育成の領域で一般的に知られるようになりました。

とはいえ、まだ、コーチングについてさまざまな解釈があるのも事実です。たとえば、コーチングの定義によく見られるキーワードとして、「コミュニケーションの技法」「人を育てる方法」「会話の技術」「指導法」「人を後押しし、サポートする」「マネジメントの手法」「信頼関係の築き方」などがあり、領域もカテゴリーもまちまちで、わかりにくい面もあることでしょう。

それを引き起こしている要因の1つが「コーチング」と「コーチングスキル」の混同です。そこで、今回は、コーチングとコーチングスキルを区別しながら、コーチングを有効に行うことができるように整理します。

プロのコーチは何をしているのか?

私が最初にコンタクトを持ったアメリカ人のコーチをはじめとして、現在、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地にビジネスコーチのプロに会いました。その人たちのクライアントの多くは企業のトップエクゼクティブクラスです。有名なところでは、グーグルの会長であるエリック・シュミッツ氏も自らコーチをつけており、「今まで受けたベストアドバイスとは、コーチをつけなさい、ということでした」と語るCNNのインタビューがあります。

コーチングとは何かを理解するには、プロのコーチが行っていることを知ることからはじめるとイメージしやすいでしょう。たとえば、料理のプロが行っていることを家庭料理で活かすことができるように、プロコーチの行うことを理解すれば、部下育成に取り入れることができるようになります。

コーチングの前提とは?

プロのコーチを受ける人を「クライアント(顧客)」と呼びます。大抵クライアントが目的を持ってコーチを雇います。企業トップやエクゼクティブがコーチを雇う、ということを考えれば、その目的は容易に推測できますが、多くの場合は業績を上げることに直結しています。それに責任を持っている立場にあります。

コーチは、クライアントがどのような目的を持ち、どんな目標を達成するのかについて、クライアントとコンセンサスを持つことが前提となります。ここが要で、目標達成についてのクライアントの自主性、自律性がなければ、そもそもコーチングは成立しません。人から言われていやいやコーチングを受けたり、やりたいことがないのにコーチをつける、ということはコーチングの前提に合いません。CEOクラスでなくても、組織に勤める人なら誰でも業務目標、業績目標はありますから、その達成を促進するためにコーチを雇うとしたら、何が起こるか、ということを想像してみください。

コーチをつける目的としては以下のものが上げられます。
  • 業績の向上
  • リーダーシップ開発
  • 組織変革への対応
  • パフォーマンスの向上
  • 部下育成力向上
それぞれについて、達成目標を具体化することからコーチングはスタートします。