ジャパニーズウイスキー史上、特筆すべき年
受賞者の皆さん
「WHISKY LOVERS AWARD 2010」。ウイスキーラバーに選ばれた6人は坂本龍一、米倉涼子、熊谷哲也、吉高由里子、小林可夢偉、そしてマッチ、近藤真彦(以下すべて敬称略)という素敵な人たちばかりだ。パーティーの司会は千原ジュニア、深澤里奈のふたり。わたしはただの客、傍観者でしかないのだが、こういう華やかな場が似合う人間ではないから落ち着かない。
とはいっても昨年につづき、ゴージャスなウイスキーイベントが開かれることは、素直に嬉しい。ウイスキーが注目されているからこそのこと。
とくに2010年はジャパニーズウイスキー史上、特筆すべき、記憶されるべき年になった。
2月、ウイスキーマガジン主催の「Icons of Whisky 2010」(アイコンズ・オブ・ウイスキー)において、サントリー酒類株式会社が「Whisky Distiller of the Year」(ウイスキー・ディスティラー・オブ・ザ・イヤー)を受賞した。
これは世界のウイスキーメーカーの中で、ウイスキー業界で著しい貢献をしたメーカー1社だけに贈られる特別な賞だ。初めて日本のメーカーに授与された。
ISC2010で頂点に立つ
山崎1984/700ml/48%/¥100,000
「シングルモルト山崎」誕生の1984年蒸溜原酒のみで設計された稀少品。主体はミズナラ樽熟成原酒。日本が薫る、風格の一瓶。
「シングルモルトウイスキー山崎1984」がウイスキー部門最高賞トロフィーに加え、全酒類部門のトロフィーの中から傑出した製品1品のみが選ばれる「シュプリーム・チャンピオン・スピリット」に輝いた。エントリーした約1,000製品の頂点に立ったのだ。
さらには高品質で多彩な製品を生み出したメーカー1社だけに贈られる「Distiller of the Year」をサントリー酒類株式会社が受賞した。これも初めて日本のメーカーに与えられたものだ、
嗜好品に限っていえば、受賞したからなんでも単純に素晴らしい、とわたしは褒め讃えるタイプではない。だがこの同時受賞だけは「あっぱれ」と喝采を贈りたい。
ジャパニーズウイスキー87年の歩みの中で、これほどまで光輝く時があっただろうか。世界がジャパニーズを認めた、という表現はもう過去のものになった。これはジャパニーズウイスキーが世界のスピリッツ市場で重要な役割を担っている証しである。
談笑をつづける受賞者たちを眺めながら、ジャパニーズウイスキーがより香り高く、輝きを放ちつづけることを願った。
次頁では、ウイスキーラバーズアワードの模様、そこで供されたウイスキーと食のマリアージュを紹介しよう。(次ページへつづく)