億ション市場の捉え方
別会社になった以上、これまでにも増して業績確保が求められる。だからこそ普及価格帯に集中してマーケットを攻めよう、と王道を選択したのだ。「都心の高額マンションも、新しい品質を探求する意味で取り組む」(同氏)と言及したが、主戦場から外した感はぬぐえない。説明会で、「なぜ住宅部門を切り離すのか」といった記者の問いに対し、木村社長は「すべての事業ノウハウを時間をかけて自社内で培うことが良いとは思わない」「戦略的パートナーシップを結んだとき(2004年12月)に、すでに今日の姿は頭のなかで描いていた」と応じた。
億ション市場に参入したものの、ほどなくして撤退を迫られた新興デベは少なくない。都心の好立地が仕入れらさえすれば売れる時代では、すでにない。嗜好の先端を探り、形にし、ハイエンドクラスにロイヤリティーを築いていく。収益が安定化するには相当な技量と時間を要する。それはブランドと認知された企業が一番良く分かっているはずである。
世界に誇れる住宅を
記者説明会の様子
TOKYOを世界に誇る都市に。そのためには安全で高品質な住宅が不可欠だ。地震の多い国への漠然とした不安を抱える外国人対応策として、「六本木ヒルズレジデンス」や「愛宕フォレストタワー」では制震装置を目視できる状態にしている。日本の高い建築技術を、言葉の通じない人たちへもわかりやすく伝えるための工夫の一例である。
富裕層への商品供給こそが有力なアンテナ市場であるとは一概に言えない時代でもある。トヨタのプリウスなどが好例だろう。ぜひ、市場のど真ん中で新しい価値を生み出し、世界に通用する「ザ・パークハウス」を目指してほしい。
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