クレームはサービス向上の最大のチャンスとして活用する
クレーム対応には、目標達成に向けて行われるコーチングの「聞く」「質問する」「承認する」スキルを活用すると効果的です。そこで、コーチングのスキルの活用でクレームをサービス向上の機会に発展させる方法をご紹介します。
お客様の意図を尊重する
クレームと聞いて、すぐに「謝らなくてはならない」と思っているとしたら、ちょっと待ってください。まずお客様がどんな目的を達成したいのか、その意図をよく聞き取ることです。私は以前、某有名ブランドショップで買い物をした際、声をかけてもなかなか対応してくれず、待ちぼうけをくったことがあります。その時の店員の対応があまりにも悪かったため「このブランドにこの対応はふさわしくない」との思いで、カスタマーサービスに電話を入れたことがありました。私はただ、その時の状況を伝え、「これからは気をつけてくださいね。これからもお店に行きますから」と期待を込めて言うつもりだったのですが、電話口に出た男性は開口一番からこちらの話をほとんど聞かずに、「申し訳ございません。すみません。これから気をつけます」と平謝りするだけ。私はそのブランドへの想いや期待を伝えたかったのにその機会も与えられないまま向こうが一方的に謝り、目的が達成されないという不完全燃焼を起こした経験があります。残念ながらそれ以降、そのブランドへの興味は失われました。
クレームを伝えることは勇気がいることですし、思い入れがあるからこそ。問題点はどこなのか、お客様は怒っているのか、何か教えたいと思っているのか、がっかりしているのかなど、意図をよく理解してから対応することが大事です。
お客様の話をまず聞くこと
クレーム対応では、正確な情報を手に入れることが最も重要なポイントです。先ほどのクレーム対応の人が私の話を最初から聞いてくれたなら、「何月何日に行った○○店で、女性店員は何度声かけても、いったん応対するだけで、その後はしばらくほっておいた」という正確な情報を聞くことができたはず。それは、その個人だけに特有なことであれば、すぐに教育するなど手をうつことができます。しかし、「お客様は怒っている」という思い込みでただ謝るだけでは必要な情報も入りません。コーチングでは、話を聞くこととはつまり、相手に話をさせるということです。そのためには以下の5つのポイントに注意するといいでしょう。
- お客さまが話し終わるまで口を挟まず最後まで聞く
- わかりにくい点があったら「そのところをもう少し詳しく聞かせていただけますか」と促す
- 「はい」「おっしゃることは○○ですね」などあいづちを打ったり、聞いたことを確認する
- 声のトーンはお客様に合わせる
- お客様の言うことに関心を示す
クレームはお客様に誠意が伝われば信頼を獲得し、さらなるファンとなってもらえるチャンスです。効果的に質問をし、できる限り話してもらえるように促すことです。次に、コーチングスキルの「承認」を活用して、より強いつながりを持てるようになるクレーム対応法について取り上げます。