神経症の日常がコミカルに!?~
『大原さんちのダンナさん このごろ少し神経症』
神経質すぎる夫との共同生活がコミカルに描かれる
作者は、独身時代に神経症の彼(夫)に出会います。視線恐怖のために、初デートにも帽子とマスクを着用。皿を洗うスポンジは、グラス用から魚用まで7種常備。そんな“ド神経質”な日常からは考えられないほど人好きのするキャラクターで、酒場では見知らぬ人とも大盛り上がり、公園に行けばヒロミチお兄さんも顔負けなほどの人気ぶり。
作者は神経症の夫の異常な行動に振り回されますが、夫との共同生活には、“異文化コミュニケーション”を興味深く楽しむような明るさがあります。妻でありながら、この肩に力の入っていない受け止め方が、心の病への偏見を軽減させてくれるように感じます。
ちなみに続編では子どもに恵まれ、夫が子育てに奮闘しますが、見どころは子育てによって症状がどう変わっていくかです。ぜひ、続編の『大原さんちのムスコさん 子どもが天使なんて誰が言った!?』『お父さんは神経症 大原さんちのムスコたち』(共に文藝春秋)とセットでお読みになることをお勧めします。