ストレス

心の病は「メンタル・コミックエッセイ」で学ぼう!(2ページ目)

心の病の体験記を漫画で綴った「メンタル・コミックエッセイ」が人気です。うつ病、神経症、統合失調症の患者と家族の生活を描いたおすすめの3冊をご紹介。病気と無縁な人も、感動できる本です。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

うつ病を知るならこの1冊から~『ツレがうつになりまして。』

tsureutsu

うつ病のどん底でも、貂々さん夫婦はけっして手を離さない

「うつ病患者、家族でこの本を知らない人はいない」と言われるほど、有名なのが、細川貂々著『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)。30万部を超えるベストセラーです。

作者 細川貂々さんの夫である「ツレ」が突然うつ病を患い、会社も辞めて自宅療養生活に。毎日布団にもぐり泣いてばかりいる夫、仕事もなく家事も苦手な妻の貂々さんが、夫と一緒にうろたえ、ケンカし、慰め合いながらも、ゆっくりゆっくり回復へと向かっていきます。

この本の面白さは、病気になった夫に寄り添いながら、貂々さん自身も変わっていく「自己成長物語」を兼ねている点にあります。ポジティブだった夫が発病によって悲観的で気の小さい男性と変身し、ネガティブだった妻が夫の療養をきっかけに、大らかで前向きな女性へと成長していきます。

貂々さんは、泣き笑いを共有しながら生活を切り盛りしていきます。「うつ病」という重い病を抱えながらも夫を誘導することなく、「夫婦善哉」のようにぴったり寄り添い仲良く暮らす夫婦。そんな2人の生活の様子が、読者の心にほっこりしたあったかさを残してくれるのだと思います。

うつ病は回復までに数ヶ月~数年という長い期間を要し、長い治療期間が患者と家族を絶望の淵へと追い込みます。それでも貂々さん夫婦のように、共に自然体で歩んでくれる相棒がいれば乗り越えられる------そんな希望を与えてくれる1冊です。
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