「カミングアウト」が病気の理解を深めてくれる
勇気あるカミングアウトが希望を与えてくれた
しかし、「心の病」と聞くだけで腰が引けてしまい、「一度なったら治らないコワイ病気」「精神科に行くのは心の弱い人」と勘違いしている人はまだまだ多いものです。そのため、心の病を患った人や家族は、病気を隠すことが多かったのです。
しかし、近年では自助グループ活動などを契機に、病気の体験を語る患者や家族が徐々に増えはじめ、患者にとっては信頼できる情報と治癒への希望を享受できる機会が増えてきました。こうした勇気ある「カミングアウト」が、人々の病気への偏見や誤解をなくし、合理的な対策の理解へと促す一助にもなっているのです。
「メンタル・コミックエッセイ」によるカミングアウト
重い闘病記も、漫画ならさらりと読めて共感できる
そうした文化人によるカミングアウトの一つに、「コミック・エッセイ」の存在があります。コミックエッセイとは、漫画で綴られた随筆のことです。とくに近年では、作者自身が、あるいは作者が家族として体験した手記が人気を呼んでいます。
私はこうした、メンタルヘルスのテーマに特化したたコミックエッセイを「メンタル・コミックエッセイ」と読んでいますが、多くがイラストタッチのいわゆる“ゆる系”な画風であるため、重い場面でも読み手がつらくなりすぎずに読み進むことができます。
さらに、病気が理解できるのみならず、家族や夫婦の愛情、人間としてどう生きるか、という深い内省を与えてくれる作品です。なかでも、ガイドがおすすめする3冊を次のページからお伝えします。