オフショア開発を円滑にさせるブリッジSE
そこで登場するのがブリッジSE。現地のITベンダーと日本との橋渡し役(ブリッジ)を行う人材で、いうなればオフショア開発第一世代の社長のような役割。ブリッジSEは日本の事情にたけた現地人のこともあれば、現地事情に長けた日本人の場合もあります。さすがにプログラムはテープで運びませんが、日本に出張して発注元と打ち合わせ。仕様書のあいまいな部分や書かれていない部分を洗い出し、海外に持ち帰りプロジェクト管理しながら仕上げて納品します。中国でのブリッジSEの人月単価は開発人月単価の倍となる60万円になります。
日本語ソフトを作る街 大連
大連では、日本からのオフシェア開発を請負うため優秀な学生を入社させる
10年以上前、瀋陽にある東北大学を訪れた際、広大なキャンパスの中にあるホテルへ泊まり、朝、散歩へ出ると何百人もの学生が英語のテキストを持って歩きながら音読していました。英語の成績で留学できるかどうか決まるので学生は必死。先生に聞いてみたら日常の光景だそうです。東北大学の中には日本語を教えるコースもありますが、人気はやはり英語。
瀋陽郊外に東大ソフトウェアパークという約50ヘクタールにわたる工業団地があり、翌日視察に行きました。全面芝生が貼られたソフトウェアパークで、日本の工業団地とは比べ物になりません。中核となっているのが東方軟件。東北大学出身の創業者が始めたITベンダーで、日本のアルパインと合弁会社を作っていました。社内は明るく広く、たくさんのエンジニアがパソコンに向かっています。朝から英語を音読するような学生から、さらに選ばれた優秀な大学院生を入社させています。
東方軟件は大連に進出し、また自ら在校生約2万人の東軟情報技術学院を作り、日本語とソフト技術を学習した学生を入社させています。狙うのは日本からのオフショア開発。
東方軟件の動きに刺激され、大連理工大、大連交通大などもソフト人材育成を始め。いまや大連は日本語とソフトができる人材の一大基地になっています。東方軟件は日本法人も作っており、ITベンダーの格付けであるCMMでは最高のレベル5を獲得しています。日本のITベンダーでCMMのレベル5を取得しているところは少なく、システム開発を優秀な中国企業に委託しようという動きも出ています。
→ オフショア開発の4つの注意点