事業を4つのタイプに分類するアドバンテージ・マトリクスとは?
新規事業を展開する際にベースとなる考え方はいくつもありますが、今回は「アドバンテージ・マトリクス」を活用して、イオンの新規事業戦略を読み解いていきます。
アドバンテージ・マトリクスとは、世界的に有名なコンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループが考案した事業の分類法。収益性と規模の関係から事業を4つのタイプに分類していきます。
■分散型事業
分散型事業は規模を大きくできない
1つめは「分散型事業」と呼ばれるタイプです。この分散型事業の特徴は、小規模では利益を上げる企業も存在しますが、様々な制約があって規模を大きくすることができないところにあります。
たとえば、料理を芸術的な域まで高めて、見た目や味が評判になっているレストランは、料理を作るシェフの腕に大きく依存しています。このような場合、1店舗で成功しているからといって、大々的に全国規模で事業を展開したとしても成功できるとは限りません。同じレベルのシェフを多数抱えることは現実的には難しいからです。
■規模型事業
規模型事業はトップが圧倒的に有利
2つめは「規模型事業」になります。この規模型事業では、規模を大きくすればするほど収益力がアップしてきます。全国レベルで展開するファミリーレストランが規模型事業の典型例です。規模を大きくすれば、それだけ調達力が増して、低コストで原材料を調達できるようになり、高い収益力を実現できるようになります。
このようなコスト削減効果は、同業界でもより規模の大きい企業に有利に働きますから、規模型事業ではトップ企業が圧倒的に有利な立場に立ちます。
■特化型事業
特化型事業は規模に関わらず収益を上げられる
3つめは「特化型事業」と呼ばれるタイプです。特化型事業では、様々な商品やサービスを提供するのではなく、得意な分野に特化して事業を展開していきます。特徴としては、規模に関わらず高い収益率を実現できるということが挙げられます。
外食産業で例えれば、お寿司や焼き肉などに特化して事業を展開する場合です。お寿司屋というのは1店舗でも高い収益率を実現することができますし、回転寿司のような全国規模の店舗展開を行っても高い収益率を実現することができます。
■手詰まり型事業
手詰まり型事業は誰も高い収益を実現できない
4つめは「手詰まり型事業」です。手詰まり型事業の特徴は、どんな規模の企業にとっても高い収益を上げられないことです。市場が衰退して、需要があまり見込めない上に、顧客にとっての判断材料が価格だけになるので、激しい価格競争が繰り広げられ、たとえ大規模に事業を展開したとしても高い利益率は見込めないということになります。