食べる・飲む、打つ、買うのどれかを楽しみにしている人は多いでしょうが、こうした日常の活動にも心の病気は潜んでいます |
今回は私達の日常の活動に潜む、心の病気について詳しく解説します。
食べる・飲む、打つ、買うに潜む心の病気
依存症、摂食障害
食べる・飲む、打つ、買う(ショッピング)は人間の基本的な楽しみですが、時に私達の日常生活を脅かすような問題の元となります。まず、「食べる」ですが、おいしいご馳走を食べる事は楽しいはずですが、それが楽しい事ではなくなってしまう場合があります。スリムなボディが格好良いとされる現代社会において、特に異性を意識しやすい思春期は、ダイエットをしてスリムなボディを保とうとしがちですが、それが強迫観念化してしまい拒食症のレベルになると、食べたくても食べられなくなってしまい、生命の危険も生じてくる深刻な事態になります。
「飲む」もまた、心の病気と関連する行為です。アルコールは脳に作用する薬物であると言う認識は大切です。急性アルコール中毒には意識喪失、呼吸中枢の停止の為、生命を失ってしまう危険もあり、また、慢性的な飲酒は精神的、身体的依存をもたらし、酒を飲んでいるのではなく、酒に飲まれている状態に変えてしまいます。
「ばくちを打つ」の「打つ」を楽しみにしている人も多いと思います。人間は古来、賭け事を好んでいて、現在は廃墟である古代ローマの円形闘技場でも、かつて、剣闘士の誰が勝利するか、観衆は賭けに興じていたのではないでしょうか。そもそも人生には職業や伴侶の選択など賭けの要素があり、また、賭けの要素があるがこそ、人生は楽しいものかもしれませんが、ギャンブルには楽しいが故にのめりこんでしまう危険性があります。ギャンブル依存は治療が必要な心の病気です。
「買う」のショッピングが楽しみな人も多いでしょう。大人買い、衝動買い、底値買いなど、買いにまつわる言葉は多々ありますが、必要のないものまで衝動買いしてしまい、その場はすっきりしても、後で悔やむ事を繰り返してしまうほど、ショッピング中毒になってしまう場合があります。買いすぎのショッピング中毒も問題ですが、反対に、全然、買わない倹約家も家庭で良く思われない原因になりやすいです。倹約家は肛門期性格が顕著な完璧主義的な人に見られやすいです。
この他、依存症にはニコチンや法律で禁止されている覚せい剤といった物質依存の他、インターネット、セックスなどの快楽も依存を生じさせますが、依存症が生じる素地として、元々の気分の落ち込みなどがある場合が少なくありません。
こうした日常生活に潜む心の病気は過少評価されやすい傾向があり、自力で解決できる問題ではなく、治療なしに解決する事が大変困難である事を見過ごしやすいです。
次のページでは、薬物療法、心理療法など心の病気の治療法について詳しく述べます。