メンタルヘルス/その他の心の病気

新奇性追求気質とは…リスキーさに引かれるのは遺伝のせい?

【医師が解説】新しいものや冒険やリスクを求めてしまう「新奇性追求気質」。この気質の強さには、快楽や報酬に関わる脳内神経伝達物質である「ドーパミン」に関連する遺伝子が関与していると考えられています。新奇性追求気質を持つ人の傾向・特徴について解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

新奇性追求気質とその傾向

新奇性追求気質とその傾向


新しい製品が出る度にワクワクしたり、近所でお店がオープンすると必ず覗きたくなったり……新しいモノには目がない人はたくさんいますが、中には「今度の休暇はアマゾンのジャングルを探検しよう」など、新しさやスリルを求める気持ちが非常に強い人もいるかもしれません。

危険に対する怖がり具合、辛抱強さ、損得への敏感さなど、色々な気質で人の性格は形作られていますが、新しいモノや冒険を求める気質は新奇性追求(原語:novelty seeking)と呼ばれているものです。もちろん、新奇性追求が強いというだけでは、心の病気とは関係ありませんが、新奇性追求がスリルのある異性との出会いやギャンブル、法律で禁止されている薬物といった方向へ向かってしまうと、依存症などの心の病気も関連してきます。

今回は、新奇性追求の強い人、つまり、新しいモノ、冒険やスリルを過剰に求める気持ちの強い人について詳しく述べてみます。
 

新奇性追求の強い人の共通点・傾向

新奇性追求の強い人には以下のような性質が見られがちでしょう。
 
  • 衝動的
  • 怒りっぽい
  • 見栄っ張り
  • 浮気性
  • 飽きっぽい
     
とは言え、新奇性追求が強いという事はチャレンジ精神が旺盛ということ。場合によっては見事に何かを成し遂げることもあります。新奇性追求は通常、20歳前後をピークに年齢と共に減退していくものです。自分の誕生日にスカイダイビングをした80歳を超えた方がニュースになったり、高齢でも危険なことにチャレンジすることは珍しいこととして扱われることが多いようです。新奇性追求の年齢による変化には大きな個人差がありますが、その強さには生まれつきの要素も関与しています。次に、新奇性追求の遺伝的側面について述べます。

 

新奇性追求の遺伝的側面

まず、同じ遺伝子を持った双子は別々の環境で育っても新奇性追求の気質が似ている事が多い事から、新奇性追求には遺伝的な側面がある事が明らかになってきています。1996年のNature Geneticsという学術誌に、「脳内のドーパミン受容体に関連する遺伝子がDNAの中で繰り返されている回数は人それぞれ異なり、その遺伝子が7回繰り返されている人は新奇性追求が強い人が多い」と報告されてから、快楽や報酬に関連する脳内の神経伝達物質であるドーパミンが新奇性追求の強さに関係する事も分かっています。

新奇性追求の強さは遺伝子の影響が大きいという事は、新奇性追求の強い大人は、やはり、子供の頃からそうだったはずです。80歳を超えてもスカイダイビングをされる方は、まさに、三つ子の魂、百までという事なのでしょうが、皆さんが子供の頃はどうでしたか? 新しいモノ、冒険好きの方は子供の頃、親がどんなにこっそり何かを隠してもすぐに見つけてしまう子供だったかもしれません。

このように新奇性追求には遺伝的側面も少なからずありますが、「自分の浮気性や飽きっぽさはドーパミンの遺伝子が7回繰り返されているからだ」などと遺伝子のせいにしたい機会があったとしても、自分のした事がもたらした結果には直面していきましょうね。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます