栄養管理/妊娠中・授乳中の栄養管理

妊婦の食事・栄養!知っておきたいこと一覧(2ページ目)

妊婦さんにとって健康的な食生活をするのは大切なことです。体重、カフェイン、水銀、妊娠糖尿病、妊娠中毒症、貧血etc…など妊婦さんが気になるトピックは多いものです。今回は最新情報をまとめてお伝えします。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

食事の目標は後期では+500カロリー

日本人の食事摂取基準によると、1日当たりのカロリー摂取量は、初期では+50カロリー、中期は+250カロリー、後期は+500カロリー、授乳している人は+450カロリーを目安とされています。これぐらい余裕で食べているという人も多いかもしれません。甘いものや脂っこいものが食べたい時期かもしれませんが、できれば健康効果のある食品からのカロリー摂取を目指しましょう。おすすめスナックは、牛乳、ヨーグルト、バナナ、オレンジ、ナッツ類などです。


妊婦に特有の病気は体重とは実は関係ない?!

妊娠中毒症や妊娠糖尿病との関わりで、病院などで体重について厳しく言われている妊婦さんもいるかもしれません。しかし、妊娠糖尿病や妊娠中毒症には、自分ではコントロールできない原因や危険因子が多く関係しています。体重が増えて自分を責めたり、体重増加を無理に抑えてストレスをためるよりも、リラックスを適度な運動、気分転換、バランスのとれた食事を心がけましょう。

【妊娠中毒症】
○原因として可能性のあるもの:子宮への不十分な血液循環、血管へのダメージ、バランスの悪い食事、免疫の問題
○危険因子:妊娠中毒症になったことのある場合、最初の妊娠、35歳以上、肥満、妊娠糖尿病、妊娠する前から高血圧・糖尿病の人
○予防:予防方法は確立していません。妊娠中の運動量と減塩は予防につながらないことが分かっています。

【妊娠糖尿病】
○原因:妊娠中のホルモンの変化
○危険因子:25歳以上、家族に糖尿病(2型)の人がいる場合、以前の妊娠で妊娠糖尿病になった場合、妊娠する前に過体重の人
○予防:妊娠糖尿病を予防する方法は確立されていません。適度な運動とバランスの取れた栄養の効果は示唆されています。

日本では母体の非妊婦時の体格が考慮された研究が少ないため(厚生労働省サイトによる)、欧米の資料を参考にしています。


カルシウムはしっかり摂取

日本人に不足しやすいカルシウム。妊婦中には注意したい栄養素の一つです。日本人の食事摂取基準によると妊婦、授乳婦におけるカルシウムの目安量は非妊娠時と同じで、18~29歳で850ミリグラム、30~49歳で700ミリグラムとなっています。お腹の中の赤ちゃんはある時期に達すると、ママの体から毎日約200ミリグラムのカルシウムを吸収して骨や歯の強化に励みます。もしママのカルシウム摂取が十分でなくても、赤ちゃんはどんどん母体からカルシウムを吸収していくので赤ちゃん自体には心配ありません。母体もカルシウムを上手に節約利用するようになるので、妊娠や授乳が原因で骨粗鬆症などにつながることはないと言われています。一般的ではありませんが、妊娠する前に骨密度が低い人には出産後に骨が弱くなるケースもみられるようです。また、出産後に歯や骨が弱くなるなどという言い伝えは世界各地に存在するようです。やはりカルシウムが不足しないように気をつけたいものです。


妊娠中は禁酒しましょう

足がつる

寝ていると足がつって痛い思いをしている妊婦さんはいませんか?乳製品などからカルシウムを、バナナやかんきつ類からカリウムをしっかり摂取すると予防効果があります。


水銀の問題

魚は素晴らしいたんぱく源であり、赤ちゃんの脳の発達に役立つオメガ3脂肪酸も豊富に含まれています。しかし一部の魚には多くの水銀が含まれているので注意しましょう。過剰な水銀は赤ちゃんの神経システムにダメージを与える可能性があるといわれています。詳しい情報は厚生労働省のウェブサイトの「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量(筋肉)の目安」をご覧下さい。


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