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あまった食べ物を有効活用! フードバンク(4ページ目)

日本は、食料自給率が4割を切る一方で、大量の食品がゴミとして捨てられ、その量は年間で約2000万トンと言われています。今回は、余った食品を預かり必要な所に届けるシステム「フードバンク」をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

ランチ試食を通じて、理解と支援を

悠
「フードバンク関西」事務所内にある「ふれあい工房 悠」。ここで土曜日の昼間、余剰食品を使ったランチがいただけます。この日もたくさんの方が、「フードバンク」の活動についてお話を聞きにこられていました。
 「フードバンク関西」では、デリバリー事業の他にも、活動されているようですが、どのような活動ですか?

浅葉 身障者通所作業所の生産品バザーを、3ヶ月に一度、大規模商業施設の通路を借りて、出店料無料で開催しています。「フードバンク関西」は、このバザーの連絡係を引き受け、バザーの売り上げはすべて作業所の収入となり、販売品を製作した障害者の皆さんの大切な収入源となっています。

そしてこの事務所で、「ふれあい工房 悠」を毎週土曜日午前11時から午後2時までの3時間、オープンしています。調理士資格を持つボランティアさんを中心に、余剰食品を食材とした簡単なランチとコーヒーをご用意して一般の皆さんに試食していただいています。

試食を楽しんでいただきながら、「フードバンク関西」の活動へのご理解とご支援をお願いするための場です。お一人350円以上のご寄付を御願いしていますが、このご寄附は「フードバンク関西」の活動運営費として、活用させていただいています。

全国で関心が高まるフードバンク

 今後の展開などあれば教えてください。

浅葉 東京・関西に続いて広島にもフードバンクが最近できたそうですし、今後も各地でうまれると思います。私たちは、やはり日本の社会に根付いた持続的に運営できるシステムを作り、そのノウハウを全国に広げて行きたいのです。

そのためには、何と言っても運営資金調達が一番の問題です。「フードバンク関西」の場合は、このフードバンク事業から収益は上げられないので、活動に賛同してくたさった皆さんからのご支援が運営費の財源のすべてです。2003年活動開始当初は、8名ほどのスタッフが配送にかかるガソリン代など、すべて持ち出しで活動していました。現在は事務所の維持費や通信費なども必要です。

そこで、事業の公益性と運営の公正さを皆様に理解していただく手段を考え、2007年12月に、「フードバンク関西」は、国税庁の審査を経て認定NPO 法人して認定されました。

これによって、フードバンク関西に会費納入や寄附をしていただいた場合、寄付金控除などの税の優遇措置を受けることができ、寄付してくださった皆さんの税負担を少し軽くできます。法人については寄附金を損金として扱う限度額が増加し、お金の寄附に加えて物品も寄附として取り扱えるようになります。

 「フードバンク関西」は寄付を受けやすい団体になり、また寄付する側も信頼して支援できるわけですね。

浅葉 でもまだまだ新しい活動に参加することに二の足を踏む食品関連企業も多いように思われます。

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