メンタルヘルス/心の病気の治療法・セルフケア

罪の意識で心を苦しめすぎないために(2ページ目)

罪の内容にもよりますが、罪の意識はその場限りの事もあれば、心に深く入り込んでしまい、心の苦しみが大きくなる場合もあります。罪の意識で心を苦しめすぎない為に、知っておきたい事をご紹介します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

罪の意識…心の内に秘めておくと不合理的になりやすい

罪の意識を覚えやすくさせる素地は性格や幼少時の体験など幾つかあります。何でもきちんとやり遂げないと気がすまない完璧主義の人は、物事が中途半端になると後悔や罪悪感を感じてしまいがちです。他人に喜んでもらいたい気持ちが強い人は、相手の誘いを断る時に罪の意識を覚えやすいものです。また、幼少期の体験、例えば、「あなたのせいで後片付けが大変!」など、罪悪感を植えつけられるような小言を言われていた体験がある人は、大人になった後も意外にそれに関連することで罪の意識を感じるなど、尾を引く事があります。

さらに、罪の意識がその罪と釣り合いが取れない程、本人の心を苦しめている場合は、その事を誰にも話さず、心の内に長い間秘めている事が多いです。罪の観念が増幅してしまうと、行動にも歪みが生じやすくなります。例えば、恋人に尽くされている人が相手に申し訳なさを強く感じているにも関わらず、辛く当たってしまう事があるように、責める対象が自分から相手に向けられてしまう、心理学の用語で「投影」が起きてしまう事もあります。

また、不合理な程、罪の意識が拡大してしまう背景に心の病気が潜んでいないかは、注意が必要です。特に、うつ病では脳内で生じている神経化学的な問題の為に、気分の落ち込みが強くなり、思考にも問題が生じてきます。自分を責める気持ちが強くなる事もうつ病の特徴的な症状の一つであり、「他人に迷惑をかけて申し訳ない」「自分は罪深い存在だ」といった罪業妄想が生じやすくなります。

罪の意識への対策としては、罪の意識を感じた時に、すぐあやまる、何かつぐないをするなど、その場で何らかのアクションを取るのが結果的にはストレスが溜まらず、心の健康に良いと思います。あやまるは一時の罪でも、あやまらざるは一生の罪になってしまわないようにお気を付け下さい。

もしも、罪の意識が強くなり、心が辛い状態になってしまった時はカウンセリングを受ける、精神科・神経科を受診するなど専門家の力を借りる事も考慮してみましょう。


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