
更年期の女性に多い、人に相談しにくい悩みの1つに「自己臭」が挙げられます。「加齢臭があるんじゃないか」と何となく自分で気になっている人も、家族から臭いを指摘されてから不安が頭から離れないという人もいるようです。
今回は、更年期に起こりやすい精神的な問題である「自己臭への悩み」への精神医学的な注意点と、対処法を解説します。
更年期に体臭が変化するのはなぜ? 女性ホルモン低下と臭いの関係
女性の更年期は、一般的に40代後半から50代にかけての時期に起こります。この時期には、体内で多くの生理学的変化が起こりますが、なかでも顕著なのが女性ホルモンの分泌量の低下です。個人差はありますが、20~30代の頃と比べてホルモン量が大きく減少することで、さまざまな「更年期症状」を引き起こします。
体臭への影響という観点では、汗をかいたときの皮脂成分に更年期特有の変化が現れるため、体臭が強くなりやすいことが知られています。さらに、加齢臭の原因とされる「ノネナール」と呼ばれる成分も増加します。また、更年期症状によって汗をかきやすくなっている場合は、その汗に含まれる臭い成分が体臭をより強める要因にもなります。
日常生活への影響は? 臭い自体よりも「気にし過ぎ」が問題になることも
自分の臭いに気を配ることは、社会生活上のエチケットとして悪いことではありません。実際に体臭が強い場合は、本人にとっても気になる問題でしょうし、意識して適切にケアすることは大切です。
しかし、「加齢臭がひどいかも」「周りに不快に思われているかも」と、自己臭に対する不安に心がとらわれ過ぎてしまう人もいます。実際には、周りは気にしていないにもかかわらず、人との距離感や相手のしぐさに必要以上に敏感になってしまったり、自分が臭わないかを確認する行為が止められなくなったりすることもあるのです。こうした強迫観念的な思考や行動パターンに陥ってしまうと、人に会うための外出を避けたり、家族との時間もくつろげなくなったりと、日常生活にもさまざまなマイナスの影響が出てしまいます。
臭いそのものではなく、心の問題として対処していく必要があります。
「どうしても気にし過ぎてしまう」場合の精神科的アプローチ
端的に言えば、自分の臭いが少し気になったり心配だったりする場合でも、日常生活に大きな支障を来していない限りは、さほど問題ではありません。「年齢相当の加齢臭はあるのかもしれないけれど、あまり深刻に考えずに毎日を過ごしましょう」というアドバイスがすんなり受け入れられるようであれば、それで十分です。
ただし、場合によっては脳内の神経伝達物質に関わる問題が、そうしたアドバイスも受け入れにくくなることがあります。例えば、脳内のセロトニン分泌に関わる問題がある場合は、自分ではコントロールできないほどの過度の不安を覚える可能性もあります。そうした問題の原因に対応できる治療を受け、過度な不安を和らげることも大切です。
更年期の体臭の変化は、ホルモンバランスの変動に伴う自然な生理現象です。ただし、それを必要以上に気にし過ぎることで、生活の質が下がってしまうのは避けたいところです。気になる症状があれば、一人で抱え込まず、婦人科や心療内科、精神科などの専門家に相談することが大切な一歩となります。







