栄養管理/がん予防のための栄養管理・サプリメント

大豆イソフラボンで性ホルモン依存性悪性腫瘍の予防 豆腐で乳癌・前立腺癌の予防

大豆が含有する植物性化学物質のイソフラボンは、性ホルモン依存性の悪性腫瘍である女性の乳癌と男性の前立腺癌に予防効果があります。欧米の研究者も日本人のイソフラボンに注目しています。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

豆腐に、薬味、ネギ、生姜、鰹節。それを生醤油でいただいて、日本酒で一杯。というと、純日本的な和食の晩酌風景です。今回はこの晩酌の中の、豆腐を取り上げます。

欧米研究者は、日本人に癌死が少ない、虚血性心疾患が少ない、慢性肝炎が多いのに肝硬変が少ないのはなぜ?という疑問を持っています。そのために、医食同源の観点から、日本人の食生活に関心が集まっています。

欧米では調理法が発達しなかった大豆食品には、多彩な薬理作用があります。特に欧米が注目しているのが、大豆中のファイトケミカル(植物性化学物質)のイソフラボン。イソフラボンには、性ホルモンが増殖に関係する悪性腫瘍のうち、女性の乳癌と男性の前立腺癌に対して予防効果があります。

【性ホルモン依存性悪性腫瘍】

性ホルモンに依存した腫瘍は、女性では乳癌、男性では前立腺癌が代表です。欧米では、肺癌に続いて、それぞれの性別の癌死の2番目です。
日本人の癌死では、乳癌が女性では5位、前立腺癌が男性では7位です、

女性ホルモンが乳癌の増殖を、男性ホルモンが前立腺癌の増殖を促進します。そのため、以前は、女性では卵巣除去手術が、男性では去勢手術(睾丸除去術)が治療方法の選択肢の一つでした。また、女性に男性ホルモンの、男性に女性ホルモンの投与も行いました。しかし現在は、性ホルモン分泌刺激ホルモンの分泌を薬剤で抑制できるので、外科的な手術は実施しません。

女性ホルモンと男性ホルモンはコレステロールから作ります。性ホルモンは化学構造からステロイドホルモンに分類できます。元の物質が同じなので、女性ホルモンと男性ホルモンの構造は似ています。ステロイドホルモンは、細胞膜ではなく、細胞質の中の受容体に結合して効果を発揮します。女性ホルモンは男性ホルモンの作用を、男性ホルモンは女性ホルモン作用を抑制します。これは、ステロイドホルモンの受容体の構造が、対象のホルモンが違っていても似ているためです。
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