栄養管理/がん予防のための栄養管理・サプリメント

吸収できないのに効果があるって本当? βグルカンは がん に効く?(3ページ目)

キノコ由来や酵母由来のβグルカンの宣伝を週刊紙、internet上で多数みかけます。家庭の医学の立場からこのグルカンについて考えてみましょう。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

βグルカンはネズミの がん には効きます!ただし・・・

キノコ由来のβグルカンでネズミの がん が治った(縮小した)という実験があります。

この実験では、ネズミに非自己かつ異種(ヒト由来)の がん 細胞を接種して、腹腔(ふくくう)という横隔膜の下で消化管の周りの部分にβグルカンを注入しています。

しかし、この実験では、 がん 細胞の由来が非自己かつ異種なので、元々ネズミの免疫系がヒト由来の がん 細胞に対して強く働いている状態です。

この実験のようにヒトに対して、キノコ由来のβグルカンを腹腔に注入すると、化学刺激による腹膜炎を起こす可能性があります。よって、この動物実験系からは、βグルカンをヒトに経口投与して、その個人の がん 細胞に効果があるという推論を導き出す事は残念ながらできません。


βグルカンに対するガイドの考え方!



もしも、キノコから抽出したβグルカンに腸管の免疫系を刺激する事ができるならば、 がん 細胞に対する免疫能が高まる可能性は十分あります。

しかし、腸管での免疫にはまだまだ不明な点があります。例えば、食物アレルギーについて考えてみましょう。そばや甲殻類の食物アレルギーでは、本来は消化されてしまうはずの食物中の蛋白質に対して抗体ができています。

これは食物中の蛋白質が消化を受けずに、吸収とは違う形式で腸管粘膜上皮を通過して、粘膜の下にある腸管のリンパ組織で免疫系の細胞に取り込まれた可能性を示唆しています。

βグルカンが、食物アレルギーの蛋白抗原のように、腸管のリンパ組織で免疫系の細胞に取り込まれているならば、腸管系の免疫系を刺激する事は十分に可能です。

この場合はβグルカン自体は直接には血液中に入らないので、血液中濃度と効果が比例(相関)しなくても矛盾はありません。

βグルカンと免疫系の関わりは証明する手段がないのが現状です

よく免疫の本に書いてある『抗原』は蛋白質のお話です。蛋白質以外の抗原では細菌の持っている糖脂質(糖と脂質がついた物質)抗原について少しわかり始めています。

しかし、βグルカンのような糖鎖による免疫刺激については、その機構が解明されていません。そのために、口から入ったβグルカンが免疫系とどのように関わるのか、それとも関わらないかを証明する手段がないのが現状です。

将来的に糖鎖の免疫機構について明らかになれば、βグルカンが効く、効かないの論争に終止符を打つことができますね。
*関連リンク*
しこりがあったら全部乳がん?
お手軽乳がん自己検診法!
どんな人が乳がんになりやすい?
お酒や夜更かしで乳がんになる?
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます