節税対策/法人税の節税対策

保険の節税(2ページ目)

保険と聞くだけで敬遠される経営者もおられますが、保険は企業のリスクヘッジを行ううえで、有効な節税手段です。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

死亡退職金や運転資金に活用する「定期保険」

定期保険とは、死亡保険のうち、保険期間のみ保障がある保険です。特徴としては、被保険者が死亡または高度障害になった場合に限り保険金が支払われます。また、保険料が割安で、満期返戻金や配当金がないことから、支払保険料は原則として資産計上せず、全額費用にできます。

経営者または従業員の死亡退職金や経営者が死亡した場合に、急きょ必要となる運転資金や借入金返済資金に備えることができます。死亡保険金は100%課税対象となりますが、役員退職金や弔慰金と損益通算させることで利益を圧縮できます。主に役員や従業員の死亡退職金、経営者死亡による運転資金などに活用されています。

仕訳方法は、加入時は「保険料/現金預金」となり、保険金受領時は「現金預金/雑収入」となります。

■長期平準定期保険の場合
長期平準定期保険とは、契約者が法人、被保険者が役員または従業員、保険期間満了時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超え、逓増定期保険に該当しないものをいいます。

定期保険といっても、保険期間が非常に長期に設定されている長期平準定期保険については、実際の支払保険料がその長期の保険期間にわたって平準化されることから、保険期間の前半において支払う保険料の中に相当多額の前払保険料が含まれることになります。このため、一定の要件を満たす長期平準保険の保険料については、保険期間開始時における保険期間の60%相当期間に支払う保険料の1/2相当額を前払保険料として資産計上しなければいけません。主に役員や従業員の生存退職金に活用されています。
 
仕訳方法は、加入時は「長期前払費用・保険料/現金預金」となり、保険金受領時は「現金預金/長期前払費用・雑収入」となります。

■逓増定期保険の場合
逓増定期保険とは、契約者を法人、被保険者が役員または従業員、保険期間の経過により保険金額が5倍の範囲で増加する定期保険のうち、保険満了時における被保険者の年齢が45歳を超えるものをいいます。

逓増定期保険は数年前までは、支払い保険料が全額費用となるにもかかわらず、中途解約した場合の単純返戻率が6~7割もあることから、法人の節税対策として積極的に活用されていました。しかし、2008(平成20)年2月28日以後の契約分については、取扱いが変更となっています。

  • 保険期間満了時における被保険者の年齢が45歳を超えるものは、保険期間開始時における保険期間の60%相当期間に支払う保険料の1/2相当額を前払保険料として資産計上
  • 保険期間満了時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるものは、保険期間開始時における保険期間の60%相当期間に支払う保険料の2/3相当額を前払保険料として資産計上
  • 保険期間満了時における被保険者の年齢が80歳を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるものは、保険期間開始時における保険期間の60%相当期間に支払う保険料の3/4相当額を前払保険料として資産計上
これらの他にも、各種の定期保険が各保険会社にはあります。支払保険料の全額が費用となり、保険期間中に解約返戻率が高い期間が設定されており、主に法人の節税対策や役員の生前退職金準備資金に活用されています。

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