税務調査官が納得する証拠作り
税務調査時には、証拠に基づいた説明が大切です |
1.資金不要の永久節税対策と証拠作り
代表的なものとして「固定資産除却損」があります。これは、固定資産を捨てるという行為なので単に捨てるだけでは何の証拠もありません。廃棄業者に手数料を支払って引き取ってもらうと、廃棄業者から廃棄証明書などが発行され証拠ができます。この場合に廃棄する資産の一覧表と写真を残すとベストでしょう。
また「貸倒損失」の計上も、資金不要の永久節税対策として有効です。しかし、税法上貸倒計上には要件があります。その要件の1つである破産による場合には第三者の証拠が残りますので問題はありませんが、取引停止後一定期間経過等のケース(法基通9-6-3)は、第三者の証拠がありませんので注意が必要。この場合は、客観的な証憑書類として、得意先の売掛台帳や請求書など、少額滞留債権の場合は催告書や取立費用の見積書などを整えます。会社として債権管理をきちんと行っていることをアピールできるようにしておくしかありません。
2.資金不要の税金繰延対策と証拠作り
決算期末の未払い経費の計上などがありますが、この場合、税務調査官は未払い計上をする請求書や納品書で確認することになります。期末において納品されていないものや役務の提供(サービス)が終了していないものは、当期の経費になりませんので納品書などの日付をチェックしておきましょう。
3.資金が必要な永久節税対策と証拠作り
節税対策としては一般的な方法。例えば中小の青色申告事業者については、年間300万円まで1単位当たり30万円未満の減価償却資産は全額経費にできます。この場合に事業供用要件がありますが、期末にパソコン10台を購入し事業供用が翌期首になってしまった場合、残念ながら当期の経費にはならず、翌期の経費になります。また、30万円基準には本体価額以外にも付属費用も含まれますので注意が必要です。
4.資金が必要な税金繰延対策と証拠作り
例えば、生命保険料を月払いから税法上適正に期末年払いに契約変更した場合、すでに支払った当期分保険料と期末に支払った翌期分の保険料と合わせて2期分の保険料を当期の経費とすることが可能。この際には事前に保険会社との契約変更がされていることが条件になるので、証拠として残ります。
中小企業のなかには期末近くに消耗品をまとめて購入する会社も見受けられます。その場合には(貯蔵品/消耗品費)となり、当期の経費にはなりません。通常購入する範囲内であれば節税効果がありますので、納品書で期末までに消耗品が到着していることを確認できるようにしておきましょう。
税金を合法な範囲で最小にするテクニックが節税対策です。徴収する課税当局のサイドからすると、合法な節税対策なのか調べてみたいところであり、税務調査が実施されることもあります。そこを理解し、会社や従業員のために節税対策を取り組んでいただきたいと思います。