節税対策/節税対策の基礎知識

節税対策と税務調査(2ページ目)

節税対策は、経営者にとって義務であると言えます。そこで、今回は税務調査という視点から、節税テクニックについて説明していきます。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

税務調査の種類

税務調査にも種類があります。まず大きく強制調査と任意調査があります。

■強制調査
強制調査とは、まさに伊丹十三監督の映画「マルサの女」のごとく、「国税犯則取締法」に基づいて国税局査察部が捜査令状を持参し、強制的に実施される税務調査。悪質な脱税に対する告発などを目的として行なわれます。

■任意調査
通常行われるのが任意調査で、準備調査と実地調査があります。

■準備調査
準備調査には、税務署内で行われる机上調査と実際に調査対象会社に足を運ぶ外観調査があります。机上調査とは、調査対象会社から提出された申告書などや取引先などから提出された法定調書や金融機関への反面調査で得た書類から、実地調査を行うかどうかを決めるために実施されます。外観調査は、調査官が実地調査の事前に調査対象会社に足を運び、事業概況を把握するために行われるもの。飲食店などの現金商売の場合、調査官がお客になりすまして、注文書やレジの管理状況などを調べることもあります。

■実地調査
実地調査には、一般調査、現況調査、反面調査、特別調査、特殊調査があります。

■一般調査
一般調査とは、通常行われる調査のことで、調査対象会社が提出した決算書及び申告書などが正しいかどうかを確認するために行われます。もちろん通常調査なので、調査対象会社または顧問税理士に事前に連絡があり、日程変更なども可能です。

■現況調査
現況調査とはいわゆる抜き打ち調査のことで、事前のアポなしに突然実施される調査のこと。タレコミや内部告発などで事前に不正情報をつかんでり、事前連絡をすると証拠隠滅が図られるケースや、前回の調査で不正が発覚しており、今回も事前連絡なしのほうが実情を把握できる現金商売などのケースに行われるようです。現況調査は強制調査ではありませんが、相当の理由がない限り日程変更などは難しいでしょう。

■反面調査
反面調査とは、基本は調査対象会社を調査しても決定的な説明が得られなかった場合に取引先や金融機関などに対して行われる調査のこと。なかには事前に金融機関の反面調査済みということもあります。

■特別調査
特別調査は、準備調査の結果、一般調査では十分な結果を得られないと判断された場合に実施され、調査日数に制限がなく細部に渡り調べられます。強制調査ではないにしろ、悪質な脱税の疑いが濃い場合に実施されます。

■特殊調査
特殊調査は、単独調査では有効な結果を得られないと見込まれるグループ系列企業などに実施されます。

調査官の目がとまるところとは?

税務調査官が一般に注目すべき点は、売上、仕入れ、在庫、人件費、交際費、修繕費、貸倒損失、使途秘匿金、源泉所得税、印紙税、消費税です。これらの項目は、月次試算表を作成する際、顧問税理士から質問が多い項目です。

つまり、顧問税理士が監査や事務処理を行う際に「この内容を教えてください」と尋ねることは、当然調査官も「知りたい」と考えるところ。ということは、月次試算表を作成時に税務調査で説明できる証拠作りを行うことが重要です。

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