社会人の大学・大学院/社会人の進学・学生生活事例

大学院在学中に出産・育児、そしてMBA取得(4ページ目)

育児をしながら自らの成長を目指し大学院に進学。在学中の第2子出産を乗り越え、昨年関西学院大学専門職大学院においてMBAを取得した篠原亜希子さんにお話をうかがいました。

西島 美保

執筆者:西島 美保

社会人の学びガイド

大学院で得た、かけがえのない数々の出会い

---次に費用についてお聞きします。大学院修了までにトータルでどのくらいかかりましたか?
学費、書籍費、交通費、通学により余分に発生した生活費、外食、買い物で安いものを探せずやむをえず高いものを買わないといけないなど等含めて、200万円くらいかかっていると思います。全て自分で払いました。

---確かに時間がない時など、やむを得ず高いものを購入することってありますよね。さて、大学院修了の費用対効果についてはどうですか?
現時点で「金銭的な効果」はありません。すぐに学費を回収できるような収入には至っていません。正直な気持ちとしては、100万というオーダーの出費を思うと効果があったとは断言できません。修了して、すぐに役立った、活かせた、という人は少ないように思えます。みんな、回収できるかわからない不良債権(学費の出費)をかかえ日々あくせくしているのだと思います。

しかし後悔はしていません。私は時間の制約から、修了に必要な最低限度に近い数の講義しか受けることができませんでしたが、同級生には時間の許す限り講義を受ける人もいました。先生方からの教え・考え方のご教授、紹介された書籍の情報、同級生との会話から得られる情報や刺激など得るものは多かったし、価値のあるものと認識しています。

私は出産で半年遅れたため、入学時の同級生と修了時の同級生が違います、つまり、たくさんの人と知り合うチャンスを得ました。あまり話をしたことがない人でも、相談のメールをすると快く教えてくれます。このような人との縁はかけがえのないものだと思います。5~10年後に「定性・定量的に回収できた」と思えるように、これからの過ごし方を考えたいと思います。

あまりうまく表現できませんが、社会人大学院生活において、様々な価値観、考え方に触れることができました。

---修了がずれてしまったことをマイナスにとらえず、たくさんの人と知り合うチャンスとしてとらえる考え方は見習いたいですね。さて、篠原さんは大学院で学んだことを今後どのように活かしていきたいですか?
そうですね。「どのように活かせるのだろう……」と模索しています。少なからず、会社での諸々会議の話は理解しやすくなりました。話の裏にある会社の状況、意図を理解しやすくなったからだと思います。

現在、産業財のメーカーに勤務しています。お茶やシャンプーなど一般大衆消費財は様々なマーケティング戦略に関する情報がたくさんあり、わかりやすい題材ですが、それに比べて産業財のマーケティング戦略に関する情報は多くありません。産業財を効率よく売りたい、という問題への解を自身の中にテーマとして持ち続け、核としたいと思います。産業財は売った後のアフターサービスも重要で、サービスに関するマーケティングという分野を知ることができましたので、学問的裏づけを意識しながら仕事をすると、自分のやることが意味を成してくるのではないか、と期待しています。

また私生活においては、長男が小学校に入学しますので、しつけや勉強を教えるにあたって戦略を練る際に、大学で学んだ経営戦略の考えが意外と役に立ちそうです。近い将来、もし受験をする状況になった場合に、受験勉強の計画を立てる際にもデータに埋もれることなく、戦略を練ることができそうな気がします。

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