答えは6カ所です
答えは6カ所です。図1はWindows VistaのWord 2007で作成した文書です。そして、図2はその文書をWindows XPのWord 2007に読み込んで表示したものです。同じ文書なのに、VistaとWindows XPでは、一部の漢字が違って表示されるのです。以下に、それぞれの漢字を拡大しましたので、よーくご覧ください。Windows VistaのWord | Windows XPのWord |
表1 VistaのWordとWindows XPのWordでは一部の漢字の字形が異なる |
これは、ほんの一部です。他にも字形が違って表示される漢字は多数あります(詳しくは最後の参考サイトをご覧ください)。
では、なぜこんな違いが生じるのでしょうか?
VistaではJIS2004が採用された
それは、Windows Vistaが「JIS X 0213:2004」、通称「JIS2004」という文字コードに対応したことが原因です。といっても、多くの方は「ん?」だと思うので、ごく簡単に説明します。漢字やカタカナ、記号など多様な文字を持つ日本語をコンピュータで扱うためには、どんな文字を扱うか、どの文字をどんな番号で扱うか(コンピュータでは文字も番号で扱われます)といった決めごとが大切です。しかし、メーカーや民間の団体が勝手に決めたら収拾が付きませんから、国がそれを行っています。この決めごと(規格)が、日本工業規格つまりJIS(Japanese Industrial Standard)の「JIS2004」です。
最初にこの規格が決められたのは1978年です。しかし、コンピュータは年々高性能になりますし、言葉も年々変化します。そこで、この規格は定期的に改定されています。そして、Windows XPで採用されていたのは、1990年に改定された「JIS90」と呼ばれる規格です。
それが、Vistaから「JIS2004」という規格にバージョンアップしました。より新しい規格に対応したので歓迎すべきことですが、新しいものが生まれると、古いものとの齟齬(そご)がどうしても発生します。それは、以下の2つです。
・一部の漢字に字形の違いが生じる。
・新しい漢字が追加されたことで旧OSで表示できない漢字がある。
Vistaは発売されたばかりですし、Windows XPもまだまだ現役ですから、新旧のOSが混在する期間、この問題は、ときどき私たちを悩ませることになるでしょう。
もちろん、すべての漢字が変わるわけではありませんが、作った文書にたまたま問題の漢字が使われていた場合は、思わぬトラブルを起こさないともかぎりません。たとえば、大切なお客様の漢字が違っていて不快感を与えてしまった……等々。
では解決方法は?
では、この問題を解決するにはどうすればよいでしょう? 方法は次の2つです。・Wndows XPがVistaに合わせる。
・VistaがWindows XPに合わせる。
マイクロソフトでも、2つの解決方法を提示しています。まず、Windows XPに「JIS2004」対応のフォントをインストールする方法です。これについては、以下のサイトをご覧ください。
Windows XP および Windows Server 2003 向けJIS2004 対応 MS ゴシック & MS 明朝フォントパッケージについて
上記サイトでフォントパッケージを入手し、Windows XPにインストールすれば、Vistaと同じJIS2004対応のフォントが利用できるようになります。
ただし、取引先がWindows XPを使っている場合は、わざわざインストールをお願いするのは、ちょっと筋違いのような気もします。また、そもそもお客様や取引先が使っているWindowsのバージョンを、すべて把握するのは不可能ではないでしょうか。
とすると、こちら(Vista)を相手(Windows XP)に合わせる次の対策が現実的になってきます。
Windows Vista 向け JIS90 互換 MS ゴシック・明朝フォントパッケージについて
上記サイトでフォントパッケージを入手し、Vistaにインストールすれば、Vistaのフォント環境がWindows XPと同じになります(注)。せっかく新しくなったのにもったいない気もしますが、状況によっては仕方ありません。
(注)Windows Vista に JIS90 互換フォントをインストールしても .NET Framework 3.0 で動作するアプリケーションでは JIS2004 対応フォントで表示されます。詳細は以下のサイトを参照してください。
Windows Vista に JIS90 互換フォントをインストールしても .NET Framework 3.0 で動作するアプリケーションでは JIS2004 対応フォントで表示される
字形の違いがリスクに直結するなら要注意
今回取り上げた問題は、じつはWordだけの問題ではありません。多くの漢字を扱うWordで特に多く発生するとは思いますが、ExcelやPowerPointでも十分起こりえます。あるいは、Vistaのメモ帳とWindows XPのメモ帳で同じファイルをやりとりした際にも起こる可能性があります。もちろん、字形の違いが問題になることはまずない、という方は神経質になる必要はありません。ただし、字形の違いが何らのリスクに直結する方、たとえば漢字の試験を作っている学校の先生、姓名の字形の違いも許されない顧客名簿を作っている方……等々は、注意が必要です。気になる方は、以下のサイトも参考にして、トラブルを事前に避けるようにしましょう。
【参考】
MS ゴシック/明朝 5.0 で新たに表示できる文字、字形が変更された文字
Windows Vista で拡張された文字について