マーケティング分析の重要性

コトラー教授の戦略的マーケティング
マーケティングの第一人者コトラー教授は環境分析の重要性を訴える
マーケティング戦略を駆使すれば、規模の大小はあれ、売上を向上させる確率を飛躍的に高めることができます。ただ、やみくもに他社で成功したマーケティング戦術を自社に取り入れたとしてもその効果を期待することはできません。やはり、自社を取り巻く環境に応じたマーケティング戦略を立てていかなければならないのです。

そこで効果的なマーケティング戦略を構築する上で、最も重要と言っても過言ではないのが環境分析。「ビジネスは争い」という観点に立てば、古代中国の戦略家である孫子の言葉に環境分析の重要性が見て取れます。

「彼れを知りて己を知れば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己を知れば、一勝一負す。彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必らず殆うし」(孫子)

つまり、相手と自社のことをよく知っている企業というのは、どんな環境においても堅実な業績を残すことができますし、自社のみをよく知っている企業は浮き沈みの激しい業績に甘んじることになります。相手のことも自社のこともよく分析せずにビジネスを展開する企業というのは、必ず危機的な状況に陥るというわけです。

また、現代のマーケティング戦略の第一人者フィリップ・コトラー教授もその著書で「調査はマーケティングの出発点である。調査をせずに市場参入を試みるのは目が見えないのに市場に参入しようとするものだ」(『コトラーの戦略的マーケティング』ダイヤモンド社 P.48 )とその重要性を訴えています。

マーケティング分析の対象

それでは、マーケティングにおいてはどのような対象を、どのように分析する必要があるのでしょうか?

まず、分析対象についてはビジネスに関わる全ての対象を、モレなくダブリなく分析しなければなりません。自社はもちろんのこと、市場で争いを繰り広げる競合企業や商品やサービスの販売対象となる顧客、仕入れ先や流通企業などの協力業者、他にも景気を含めたマクロ環境など対象は多岐にわたります。どのように分析していいか分からない場合、型にはまった分析方法を活用すれば、初心者でもモレなくダブりなく環境分析を行うことも可能です。

たとえば、自社・競合企業・顧客・協力企業を分析する際には、4C分析という方法が活用できます。4C分析とは自社(Company)、競合企業(Competitor)、顧客(Customer)、協力業者(Cooperator)の頭文字をとって名付けられた分析手法。この4C分析では、SWOT分析(Strength[強み]、Weakness[弱み]、Opportunity[機会]、Threat[脅威])を通して競合企業の強みや弱みを把握したり、4P分析を通して自社のビジネスモデルを確認したり、顧客分析を通して市場の動向を把握したりと、事業に関わる詳細な環境を知ることが可能になります。

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4p分析とは

マクロ環境を分析する際にはPEST分析を行うといいでしょう。PEST分析とは企業を取り巻く外部環境を政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)という4つの観点から分析を行う手法です。企業は競合企業や顧客だけでなく、法律や景気変動、ライフスタイルの変化、技術革新などの外部環境にも多大な影響を受けます。そこで政治・経済・社会・技術を分析し、将来的な変化を予測しておくことは重要なポイントとなるのです。

たとえば、最近薬事法が改正され、インターネットを通した医薬品の販売が大きく規制されることとなりました。この改正薬事法の施行を受けて、医薬品のネット販売を行っていた業者は売上が大幅にダウンするなど、事業に多大な影響を受けました。これは企業が通常よく気に留めている競合企業や顧客の変化によるものではなく、法律という外部環境の変化によってもたらされたものです。つまり、PEST分析を通して、自社がマクロ環境においてどのような機会や脅威に晒されているのかを把握することは、競合企業や顧客を分析することと同じくらい重要と言えます。