S‐大きな市場を細分化する「セグメンテーション」

自社を取り巻く環境を詳細に調査・分析した後は、より成功確率の高いマーケティング戦略を練っていくプロセスへと続きます。自社の提供する製品やサービスの売りを把握して、最も購入してもらえる可能性の高いターゲットを見つけていく段階です。

このプロセスでは「Segmentation(セグメンテーション)」という手法を活用し、1つの大きな市場をある条件に従って数多くの小さな市場に細分化していきます。

細分化する条件には様々なものがありますが、代表的なものは性別や年代、地理的条件など、たとえば市場を「男性、女性という性別基準」、「10代、20代、30代という年齢基準」、「東日本、西日本という地域基準」などで細分化していくというわけです。

それではなぜ、マーケティングではこのような市場の細分化を行わなければいけないのでしょうか?

大きな市場のままでマーケティング戦略を立てれば、それだけ大きな売上が上げられるのではないかという考えも浮かびます。

ただ、実際のところ、市場を絞れば絞るほどヒット商品の可能性は高まるのです。理由として挙げられるのが、全ての人を対象にした商品は結局のところ消費者の心を捉えないということです。「あれもできます」「これもできます」という、全ての人の全てのニーズを対象にした商品やサービスというのは汎用品であり、製品のコンセプト自体が非常に曖昧で不明確なものになります。このようなコンセプトが不明確な製品では、顧客の心を捉えることは難しいというのは想像に難くないでしょう。

競合他社と違った目線で市場の細分化を行うと、意外なヒットに繋がる場合があります。たとえば、アサヒ飲料の「ワンダモーニングショット」という缶コーヒー。これは缶コーヒー市場を朝、昼、夕方、夜という時間軸でセグメンテーションを行った結果生まれた商品です。新たな缶コーヒーを開発する際に、通常メーカーは時間軸でセグメンテーションを行うことはありません。アサヒ飲料はそこに目を付け、実際に市場調査を行ってみると、現代の若者は朝に缶コーヒーを飲む習慣があるという結果が浮き彫りになりました。そこで、競合他社が全く開拓していない「朝」という絞り込まれた市場に製品を投入することにより、始業前に気分をすっきりさせたい若手ビジネスパーソンの心を捉え、大ヒットに繋がったのです。