販売志向のマーケティング理論

大量生産・大量消費の時代は個性よりも低価格を重視したマーケティング理論が主流となる
高度経済成長期が終わり、大量消費に対応する大量生産システムが構築されると徐々に供給が需要を上回ってきます。このような状況になると生産者は大量に生産し過ぎた商品をいかに多くの流通業者にさばいてもらうか、もしくは自社で大々的なプロモーション活動を行って認知度を高めて販売に繋げるかが主なマーケティング戦略となります。

この販売志向のマーケティングでは、大規模な流通業者を通して多くの商品を消費者に売るという大量販売が行われた結果、流通業者が巨大な力を持ってくるのが特徴です。たとえば大手家電量販店やコンビニエンスストアは生産者以上に商品価格の決定権を持つようになったという事例が販売志向マーケティングの典型と言えます。販売業者は店頭での販売状況の分析を通じて、売れ筋商品の情報提供など生産者の商品開発に多大な影響を及ぼすようになるのです。

この販売志向のマーケティングでは流通業者が主役となり、流通業者がどのような商品を扱いたいかが重要なポイントとなります。

顧客志向のマーケティング理論

市場が成熟して、消費者が既に多くのものを所有する、いわゆる「モノあまり」の時代になると、消費者は自分にとって真に価値のあるものだけを厳選して、購入するようになります。このような状況では生産者や流通業者は消費者にとって本当に必要なものを把握し、欲求を高めていかなければ自社の商品が消費者に選ばれる機会は非常に少なくなってきます。

これが顧客志向マーケティングの始まりとなります。

この顧客志向マーケティングでは、これまでの生産者や流通業者といった企業が主体ではなく、消費者個人が主体となります。大量生産・大量消費時代には消費者は個性よりも低価格を重視していましたが、市場が成熟してくるに連れてより個性的なものを求めるようになります。たとえばかつてユニクロのフリースが大流行しましたが、街中にフリースを着ている若者が溢れると、消費者は他人と同じユニクロのフリースを着用する“ユニばれ”という事態を避けるために、急にフリースに見向きもしなくなったのはこの顧客志向マーケティングを表す典型的な事例と言えるでしょう。

この顧客志向マーケティングでは、生産者は従来の生産者の都合で作って売るという考え方から脱却して、顧客目線で本当に価値のある商品やサービスを開発して、顧客満足度を高めていかなければいけません。また、流通業者は顧客の意向を反映した品揃えを実現し、より品質の高い商品をより満足のいく価格で提供するというマーケティング理論を実践する必要があります。