マーケティング/マーケティング戦略・基礎編

競争のない市場を見出すポジショニング(2ページ目)

いくら市場を細分化してターゲットを絞ったとしても、同じ市場に強いライバル企業が存在すれば、ビジネスを成功に導く可能性は低いものになります。そこで、同じ市場でもポジションを変えることで、競争のない市場を作り出すことが可能になります。今回はそんなポジショニングの手法をお伝えしていきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ポジショニング実行の際の注意点
 

ポジショニングを実行する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。

■顧客の共感・納得
ポジショニングでは顧客から共感を得られるかも重要な鍵を握る

ポジショニングでは顧客から共感を得られるかも重要な鍵を握る

一つは企業が実施するポジショニングが顧客にとって共感し、納得できるものでなければならないということです。企業がポジショニングマップを描いて、いくら競合相手のいない位置取りを行っても、そのポジションで顧客が共感し納得しなければ商品が購入されることはまずありません。

たとえば、アパレル業界におけるポジショニングマップを描くと、高価格でカジュアルな製品を提供するポジションがポッカリと空いていたとしましょう。そこで、高価な素材をふんだんに使用してカジュアルウェアを開発したとしても、必ずしもヒット商品につながるわけではありません。やはり、企業がこだわりを持って、社会的な使命を掲げた上での事業展開でなければ顧客の共感を得ることも難しく、まったくビジネスにならないという可能性も考えられます。

ビジネスというのは企業側からの社会的な提案が顧客に受け入れられて初めて競争優位性を発揮できるわけであって、顧客の支持が得られなければそのポジショニングは企業のひとりよがりに終わり、成功にはつながらないというわけです。

■企業イメージやブランドとの整合性
次に企業全体のイメージやブランドに対して、ポジションの整合性が取れていなくてはいけません。たとえば、ルイ・ヴィトンなどのブランドは全ての製品を高級で品質の高いポジショニングに置くことにより、ブランドとしての統一感を保っています。ここに低価格商品というポジショニングを取る製品を導入すれば、ブランドとしての統一感が失われ、顧客は混乱してしまいます。このようにポジションとして整合性が取れていない事態に陥ると、顧客は他のしっかりとしたポジショニングを行っている競合企業に流れていくことになるので注意が必要になります。

ポジショニングは、競争が激化する市場でライバル企業との無用の競争を避けるために非常に、重要な戦略になります。ポジショニングをしっかりと行えば、競合のいない自社独自の魅力を十二分にアピールできる位置取りを実現して、顧客に自社商品を天秤にかけられることなく独自のビジネスを展開していくことが可能になるというわけです。
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