ポジショニングを行えば無用の競争が避けられる!
自社よりも強い競合企業が同じターゲット市場に存在する場合は、市場を変更するということも一つの手段ですが、他に適切な市場を見つけられるとは限りません。そこで、ターゲットとする市場で他社と全く違った切り口でビジネスを展開していくポジショニングという方法を活用することによって、競合企業と直接の競争を避けていくことが可能になります。
ポジショニングとはターゲットとする市場で競合他社の戦略を分析して、競合他社が存在しておらず、かつ自社の経営資源が十二分に活かせるポジションを発見して、独自性や差別性を発揮してビジネスを成功に導いていく手法です。
ポジショニングの実行プロセス
ポジショニングは次の2つのステップで実施していきます。1.ポジショニングマップの作成
まずは、ポジショニングの軸を定めてターゲットとする市場でどの企業がどのような戦略でビジネスを展開しているのかを把握した上で、自社の独自性の発揮できるポジションを見つけ出していきます。通常このプロセスでは、企業のビジネスの違いを明確化する要因を2つ設定し、それらを縦軸と横軸に割り当てたポジショニングマップという図を描いていきます。
ポジショニングマップを描けば企業の戦略が一目瞭然となる
たとえば、アパレル業界のポジショニングマップにおいて、横軸に低価格か、高価格かという「価格」の要因、縦軸にベーシックか、ファッショナブルかという「デザイン」の要因を割り当てたとします。この2つの要因を基にポジショニングマップを描けば、ユニクロは低価格でベーシックのポジションに位置するでしょうし、2009年4月に日本初上陸を果たして話題となったフォーエバー21は低価格でファッショナブルなポジションに位置するでしょう。
日本初上陸当時、ユニクロと激しい争いを繰り広げる予測が多くのマスメディアで報じられたフォーエバー21ですが、ポジショニングマップを分析してみると、微妙に市場での位置取りが異なっているために直接の競合とはならないことが一目でわかります。このようにポジショニングマップを描けば、各企業が独自のポジションでビジネスを展開することも可能になり、無用の競争を避けることができるようになるのです。
2.ポジションにマッチしたマーケティング戦略
軸を定めて自社独自のポジションを決定すれば続いて、そのポジショニングを実現するために製品や価格、流通、プロモーションなどのポジションにマッチしたマーケティング戦略を策定し、実行していかなければなりません。たとえば、ユニクロであれば低価格のベーシックカジュアルウェアというポジショニングを実現するために、ポジションに応じた製品デザインや価格設定を行ったり、低価格を実現するためにコストを抑えた流通網を整備したり、自社独自のポジションを強調したプロモーションを展開したり、自社が想定したポジションに合致したマーケティング戦略を立案し、実行に移していくことになります。