マーケティング/マーケティング戦略・基礎編

ヒット商品を生み出すセグメンテーション(2ページ目)

マーケティングでは市場分析が終われば、自社の最も成功確率が高くなる市場を見つけるプロセスに移ります。その最初の活動が市場を細分化していくセグメンテーションと呼ばれるプロセスです。今回はこのセグメンテーションについて解説していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

セグメテーションを行う理由とは?

セグメンテーションのプロセスでは、自社に適した条件で市場を細かく分類していくことになりますが、なぜ市場の細分化が必要なのでしょうか? 市場を細分化することなしに大きなマーケットを狙えば、それだけ大きなビジネスチャンスを掴むことができるように思われます。

ただ、実際にはセグメンテーションを行うことなしにマーケティング戦略を立てても、大きなチャンスを捉えることは難しいと言わざるを得ないのです。それではここでその理由を考えてみることにしましょう。

1つめは、「全ての人の全てのニーズに応えることは不可能である」ということ。たとえば、携帯電話であれば、1億3千万人弱の日本人全てのニーズを満たす端末とはどのようなものが考えられるでしょうか? もし、この質問をクリアして企業が運よく全ての人のニーズを満たす端末を見つけても、それを開発して市場に投入するには莫大なコストが必要になるでしょう。そして、高コストゆえに価格も非常に高いものになって、ターゲットにする多くの人には手が届かないというジレンマに陥ることになります。

2つめとして「全ての人を対象にした商品は結局のところ消費者の心を捉えない」ことが挙げられます。「あれもできます」「これもできます」という、全ての人の全てのニーズを対象にした商品やサービスというのは、言ってみれば汎用品であり、プロダクトコンセプト自体が非常に曖昧で不明確なものになります。このようなコンセプトが不明確な商品やサービスは、プロダクトとしての魅力に乏しく多くの消費者の心を捉えることは非常に難しいというのは想像に難くないでしょう。

最後の3つめは、企業の経営資源の問題です。「ヒト・モノ・カネ」という企業の保有する経営資源が無限にあれば、全ての消費者を対象とする非常に大きなマーケットで事業を展開しても問題はないかもしれません。ただ、現実には企業の持つ経営資源には限りがあります。この限りある経営資源を有効に活用して収益を上げていくには、自社の得意とする市場や強い競合相手のいない市場にフォーカスして事業を展開していく必要があるのです。

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