コーチング/コーチング基本知識

強みを見つけるときの6つの注意点

メンバーの能力を、最大限発揮させるのはリーダーの務めです。しかし、メンバーの強みを見つけるときに陥りがちな落とし穴があるのです。リーダー自らの力も落としてしまわないよう、注意すべき点を紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド

強いチーム
落とし穴に気をつけないと強みは見つからないし、活かせない
チームメンバーのパフォーマンスを上げるには、その人の強みを見つけることが大事です。強みの見つけ方については、「高パフォーマンスを引き出す強みとは」でご紹介しました。その強みを見つけようとするとき、気をつけたいポイントがあります。今回は、はまりやすい落とし穴について取り上げていきましょう。

周りの人と比較しない

相手の強みを見つけようとするときに弊害になるのは、周りの人と比較してしまうことです。せっかく持っている強みも、他の人と比べて評価をすると埋没してしまう可能性があります。たとえば、「A君と比べるとそうでもないな……」と考えるのは危険なことです。

自分と比較しない

自分が有能なプレイング・マネージャーだと自分を基準として見てしまうため、部下の評価が厳しくなる傾向にあります。「私だったらこうするのに」という内なる声が聞こえたら危険信号。自分だけでなく、できるだけ多くの人の視点をもらい、周りの人からも意見を聞くことが大事です。

1回で判断しない

強みを見出すには、短期ではなく長期的な視点で見ることが大切です。その人が継続して行っていること、繰り返し表出する現象に目を向けましょう。何か特定の状況や場面だけを取り上げ、「あの時はこうだったから」と判断しないことです。

本人が言ってることを鵜呑みにしない

強みの発揮
強みを生かすには、様々な場面を観察して気づいたことを、本人に伝え自覚させることがポイント
「私の強みは○○です」と相手が言ったとしても、簡単に信じてしまわないこと。自分で認識していることと、他者が認識していることにギャップがあることも。

一番確かなのは、その人の実績や評価されている態度など、事実を把握することです。「本人が言ってるんだから間違いないだろう」と思わないで、自主的にどんな行動をしているかにも注目することです。

大雑把に捉えてしまわない

その人の持っている強みを大雑把に捉えてしまうと、他に強みを活かせる機会を逃してしまう可能性があります。例えば、「あの人は営業ができる」という大きなくくりにしないこと。営業ができる、新規開拓ができる、初対面の人と信頼関係を築くのが早い、という分析を深めて、様々な場面で活かせる機会を見つけましょう。

強みを発揮する領域を具体的にすれば、営業だけでなく調査のインタビューなど、他にも力を発揮する機会を提供することができます。強みを見つけたら、より具体的な要素に分解してみることが大切です。

注意するポイント

強みを発見し活かすためには、次のことに注力してください。
  • 自分だけでなく、多くの人の視点を得る
  • 短期ではなく、長期的に見る
  • 本人が言っていることではなく、実際に行動していることを確かめる
強みは自覚するのが難しいので、発見したことを本人に伝えることが大事です。観察で強みを特定し、本人に自覚させ、強みを活かせる場を提供する。それがチームメンバーの能力を発揮させることができるコーチ型マネジメントです。
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