コーチング/コーチング基本知識

コーチ型マネジメントを始める前に(3ページ目)

コーチングは、関わる相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、それが身につくように会話を通じて継続的に関わることです。それを実践するための前提や、知っておくべきポイントをお届けします。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド


コーチ型マネジャーの関わり方

イメージを持つ
部下とともに未来の絵を描くことがコーチ型マネジメントのコツ
部下に対してコーチ型の関わり方をする際には、6つのポイントに意識を向けると効果的です。

■1.目標をともに具体化する
コーチングする際には、相手と横に立って同じ方向を見て一緒にキャンバスに行く先の絵を描くことを想像するといいでしょう。「君はこの点についてはどう考えているの?」「僕がかつて経験したときは」など、お互いに話し手、聞き手の役割を交代することを意識すると、相手の話がよく聞けたり、聞いた話をもとに自分のアイディアを付け加えながら、より具体的な絵を描けるようになります。

■2.未来を描く
物事が混沌として先に進まなくなると、人は過去を振り返り問題を見出そうとする傾向があります。そのときには、まず現状を把握し、いま何をやろうとしているのか、誰と関わっているのか、どんな行動をとっているのかなどはっきりさせ、未来を描けるようにします。現状にとらわれてしまうと、未来のことに意識を向けにくくなってしまいます。コーチ型マネジャーは問いかけを繰り返し、相手に進む先の未来を常に意識させることが大事です。

■3.自分の都合で相手の行動を制限しない
あなたは自分ができないことは相手に求めない、ということはないでしょうか。しかし、相手の行動を制限すれば、その人が能力を発揮する機会や可能性を奪ってしまいます。自分自身がどうであっても、目標達成に必要なことは相手に要求しましょう。「これは無理だろう」というささやきに気をつけることです。

■4.アドバイスしない
ときおり、自分のほうが相手より知っていることが気になることがあります。「こうすればいいよ」とか「こうしたらどうか」とアドバイスしたくなりがちです。しかし、それを続けてしまうと、部下から自発性を奪うことになり、次第に自分で考えずに上司からのアドバイスによって行動する人を育ててしまうことになりかねません。「こうしたほうがいいよ」「○○をやってみたらどうかな」という台詞を使っていたら注意すること。まず、相手の思いや考えを表現させているかに気をつけること。本人が自ら最良の道を選べるよう促すのがコーチ型マネジャーの役割です。

■5.タイミングをつかむ
優秀なマネジャーは、部下がうまくいっていないときはもちろんのこと、うまくいっているときにも素早く声をかけ、その行動を後押ししています。そのために必要なのは観察することです。部下の行動、話し方、顔色、関わっている相手などに常に意識を配り、指摘する必要があれば、その場ですぐに行います。「後で伝えよう」というのでは、もう間に合いません。部下のうまくいっていることを強化したり、うまくいっていないことを指摘するには、「すぐ、その場で」のタイミングをつかむのがポイントです。

■6.ティーチングと使い分ける
あらゆる時にもコーチ型の関わり方が効果的であるとは限りません。特に相手が知らないことに取り組んだり、スキルが未熟な領域について問いかけを続けても、すぐに行動に移すことは難しいものです。能力や知識がない領域について教える時や、緊急性の高いトラブル対応の際には、ティーチングが効果的。逆に長期的に取り組むことや、本人の専門領域が活かされる仕事などは、問いかけることによって能力を発揮させることができます。コーチングとティーチングは目的や相手の能力に基づいて使い分けることです。
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