コーチング/人材育成・組織作り

自発性と応用力を育てるコーチング

コーチングは従来の人材育成手法の代表格であるティーチングと何が違うのか? その特徴を明らかにするとともに、人材育成におけるコーチングの身近な活用例を紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド

新しい人材育成手法として注目を集めているコーチングですが、どんなときでも、また誰にでも有効かというとそうではありません。コーチングは決して万能ではなく、その特徴や活用に適する場面を的確に見分けて用いることが必要です。

そこで今回は、従来の人材育成手法の代表格であるティーチングと比較しながら、コーチングの人材育成手法としての特長や注意点を明らかにし、どのようなときに効果を発揮するのか、身近な例を交えながら紹介します。

人材育成手法としてのティーチングのメリットと限界

心構え
コーチングとティーチングの目的を理解して使い分ける
ティーチングは学校教育から始まり、組織における人材育成や習い事などさまざまな場面で一般的に用いられている育成手法です。その他にも日常のちょっとした場面で、知っている人が知らない人に教える、できる人ができない人に教えるといったようにティーチングは使われます。ティーチングは「自分が持っている知識、技術、経験などを相手に伝えること」と定義することができ、次のようなメリットがあります。

■速いスピードで育成できる
正解が明らかなことや、すでにうまくいっていると実証できている方法を伝達するので、教えられる側が考えたり思考錯誤する時間を最低限に抑えられる。

■一度に大勢の人数を育成できる
情報伝達という一方通行な手法のため、講義形式のように同時に大勢の相手を育成することができる。

■やり方や価値観の統一を図ることができる
複数の人間に同じ内容を学ばせることに優れた形式のため、ルールの徹底やマニュアル指導に向いている。

一方で、ティーチングには次のような限界もあります。

■教える側の知識や経験に左右される
教える側の知識や経験を伝えるという形式のため、教える側が持っていること以上を伝えたり、引き出したりすることができない。

■教えられる人の個性は活かされない
教える側と違ったタイプの人にとっては自分の可能性や強みが活かされなかったり、身につける過程や学んだことを実行するのに時間がかかったり、時には苦痛が伴うこともある。

■教えられる側を受け身にさせる
情報を受け取る形式のため、プロセス自体が受け身になる。そのため、教えられたことを使って失敗した場合は教えた側に責任を転嫁したり、うまくいった場合も自信に繋がらないことがあり、結果として自律性を失うことがある。

ティーチングはすでにさまざまな場面で活用され、成果を出している手法ですが、このような限界があるので万能ではありません。そうした点を補完したり、場合によってはティーチングに代わる手法として注目されているのがコーチングです。
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