起業・会社設立のノウハウ/起業・独立のノウハウ関連情報

会社にお金が残らない本当の理由

どんなにアイデアや発想が素晴らしくても、経営の背景になっているシステムがわからなければ会社はつぶれる。その差を知らずに、中小企業がいかに損をしているか、またシステムを利用してお金を残す方法について詳解する。

執筆者:藤井 孝一


会社にお金が残らない本当の理由

 著 者: 岡本 吏郎 (著)
 体 裁: 単行本: c p
 サイズ: 182 x 128
 出版社: フォレスト出版
 ISBN : 4894511576
 発行日: 2003/12/10

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
どんなにアイデアや発想が素晴らしくても、経営の背景になっているシステムがわからなければ会社はつぶれる。その差を知らずに、中小企業がいかに損をしているか、またシステムを利用してお金を残す方法について詳解する。

●今週の選書について

本書は、中小企業の経営者に向けて書かれた会計の本です。この手の本にしては、随分売れているようです。読んでみて「確かに、なかなかおもしろいな」と思いました。

特に私の場合、お客さんが著者と同様、中小企業の経営者です。だから多くの点で共感できました。例えば本書では「儲かったら内部留保しろ、すぐベンツを買うな」と戒めます。この言葉を言いたくなる気持ちは、よくわかります。

起業家も少しお金が入ると、すぐにベンツに走ります。事情はいろいろあります。例えば現金を残すと課税されますが、ベンツを社用車として購入すれば税金が減らせ、いざというとき現金になります。

しかし、少し傾き始めたら、ベンツを売って得られる金などひとたまりもありません。だから、やはりちゃんと税金を払い、せっせとお金を貯めておくべきなのです。

まったく自慢になりませんが、私は本当にぼろい事務所にいます。本などを書いていると、世間の人はすごい事務所にいると想像するみたいですが、私の場合、まったく当てはまりません。

何せ4階にありながらエレベータもないのです。だから雑誌やテレビの取材が事務所に来ると、カメラマンは、機材を持って階段を4階まであがることになります。本当に気の毒です。(スミマセン)

さらにこの事務所、実は相部屋なのです。とても広く、一応仕切りもあるのですが、隣の会議室には、いつも20人くらいの人が出入りして、ワイワイガヤガヤ大騒ぎしています。

デカイ声でプレゼンをしている人もいます。私の机に知らない人が座っていることもあります。正直、それが原稿の締め切り日だったりすると、頭に来て叩きだしたくなります。

●高価品は、本当に金持ちの証か?

周囲の人は、もっといいところに移れと勧めます。特に経営コンサルタントの世界では、見てくれの大事さが強調されます。「お客をとるために、無理をしてでも一流の事務所を持ち、一流品を身につけろ」と同業者はよく言います。

そう言う人も「車はベンツ」と言います。ベンツにこだわるのは、誰が見ても高級車とわかるからです。ここでは、自分の趣味は二の次、相手にわかることが大事なのです。

前出の起業家と違い、ブランド品を勧めるコンサルタント氏にとって、ベンツの購入は節税や虚栄心を満たす道具ではなく、お客をとるための道具なのです。

つまり、この考えのベースは、投資という発想です。ベンツの購入費は出たきり戻らない消費でなく、回収が期待できる投資なのです。だから惜しまず、借金してでも「買い」というわけです。

私も豪華な事務所で仕事したいと思わないわけではありません。その気になれば移れるかも知れません。ただ、今のところ移る気はありません。

もちろんここで年収300万円の森永氏のようにビンボーの勧めをしたいのではありません。では、一体私はなぜ移らないのでしょう?実は相部屋の片割れは、起業家の支援団体なのです。起業家に投資する個人投資家、いわゆるエンジェル投資家組織の事務局なのです。

だから、起業家が連日世界中からプレゼンにきます。最新の情報が入ります。また時にはクライアントになってくれます。起業コンサルタントとして、こんな環境ボロいからと手放せるでしょうか?

私が言いたいのは、本書にある「お金は右にならえでなく自分の価値観で使う」ということなのです。私にとって、このおんぼろ事務所は、とても投資効率がいいのです。(負け惜しみのようですが)

思えば、我々の世界で豪華な事務所やベンツに投資することは、お客さま募集中の証です。こう考えると、高価なものを身にまとい、金持ちに見える人に、本当のお金持ちは少ないのかもしれませんね。


この本のサマリーが読みたい?>次のページへどうぞ
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます