【1】
最近、仕事や人生の大事なことを決めるとき、自分で深く考えず、すぐに人の話を聞こうとする人が多い。だが人の話に答えはない。すべて自分の中にある。悩んでいる時に人の話を聞くべきではない。
話を聞いて、もう1度自分で考えたうえで決断するならいい。そうでなく、人から聞いたことを、そのままやってしまう人が多い。
だが当事者である自分が悩むくらいだから、他人に簡単に解決できるわけがない。話を聞いただけで解決するほど単純な問題なら、最初から悩まないはずだ。だから人の話を無防備に聞いてはいけない。
答えは、厳しい状況に直面している当人が考え抜いて、はじめて絞り出されるものだ。もっと自分でとことん考えて、自分の中から答えを見つけるように努力をしてほしい。
【2】
聞いて分かることといえば「悩んでいるのは自分だけではない」ということぐらいだ。自分が相手の悩みを解決できないように、相手にも自分の悩みは解決できない。
聞いた相手は、せいぜい話を聞いてくれるだけだ。自分の悩みをズバリ解決する答えを、人に期待しても失望するのがオチだ。
また、物事がうまくいかないとき「人に聞けば何かうまい話があるのではないか」と期待するのもお門違いだ。
仮に親切な成功者が、自分のやり方をいろいろと教えてくれたとしても、それはもう過去の情報だ。安かった場所は高くなり、大売れした場所は、値下げしなければ売れなくなっている。
【3】
時も、状況も異なるところでスタートした成功者のまねをしても、成功できない。他人に何かを求めても果実が得られることはない。
成功者の話を聞くなら「自分はもっとすごい成功をしてやろう」ぐらいの気持ちで聞くことだ。これなら成功者の話も、自分の中で眠っている力を引き出し生かす、テコくらいにはなる。
冷静に聞けば、人の話の中に納得できることなどめったにないものだ。大半は「そんなことなら自分ももう考えている」とか「もっと深く考えている」と感じることが多いものだ。
話を聞くなら、聞く前にも聞いた後にも、考えねばならないこと、やらねばならないことがたくさんある。人の話を聞いて本当によかったと思うためには聞き方そのものを変える必要があるのだ。
【4】
耳に入ってくる情報の99%はノイズだ。その中に紛れ込んでいる重要な1%のシグナルを聞き取らなければダメだ。
成功者は、その1%のシグナルを聞き分けるのがうまい。彼らは1%に集中しているから、人の話の大半は聞かない。結果として成功者はほとんど人の話を聞いていないということになる。
ただ人の話を全く聞かないと1%のチャンスに巡り合うこともできない。だから話を聞くときには99%のノイズに押し流されて、1%のシグナルを聞き逃さないように注意することだ。
この1%のシグナルを選びとるのは難しい。入ってくる話を何もかも、全く同じように取り入れていたら成功はおぼつかない。むろん全部を捨ててしまっても成功はできない。
選びとる力を持つ人だけが成功者になれるのだ。人の話を効果的に聞くには、まずこの選び取る能力を育てることだ。
【5】
人の話を聞いても聞いた話をそのまま実行してはいけない。「いい話だな」と思っても、いったん自分の中に取り込んで自分のものにしてから実行するべきだ。
例えば「あの株は高くなる」といわれても、その会社の内容を自分で調べてみて、納得してから、自分で決断して買うべきだ。
いつも人の話ばかり聞きたがる人は、聞くことで何となく安心したい人だ。しかし話を聞くことで最初の1歩、出遅れる。あれこれ考るうちに、結局1歩も踏み出せなくなることもある。
特に、ベンチャー事業をやろうとしている人は、人の話を聞いても収穫はない。人のやらないことをやるのがベンチャーなのだ。話を聞く暇があったら、全速力で走って周囲を早くまいた方がいいのだ。
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