最初に起こした、大きな失敗!
ガイド:独立を決心した、決め手になったものは何でしたか?
横須賀:
行政書士の仕事って、誰がやっても、あまり結果が変わらないんです。例えば、会社登記の書類を作らせてもらった時に、そんなに難しくないし、それを、30年のベテラン先生がやっても、私がやっても、そう変わらない。その時、“コレならやれる!”と思いました。
しかし、そこで一番の失敗は、仕事を覚えたことと、仕事を取ることを覚えたことは違うというでした。仕事のやり方を覚えただけで、独立してやっていけるかも知れないと思ったのは、思い込みに過ぎませんでした。
ガイド:
そうなんですね。その違いを見落として独立する方は、非常に多いと思います。それに、顧客開拓にこそ、時間とお金がかかります。
横須賀:
それで、開業した月の売上は2万5千円でした。仕事が来ると、いけるかも知れないと思い、無いともうダメだと思い、しばらくはその繰り返しでした。まだまだ躁鬱状態を抜け出せないでいました。今だから言える話ですが、当時はホントにお金がなくて、電話は3回、ガスは2回止まりました。自分のご飯代のために、家にあるCDとか本を売りました。当面の目標は、生活費を稼ぐことでしたね。
ガイド:
その時は、実家に戻ろうとか考えなかったんですか? 家賃や生活費を稼ぐだけでも大変ですよね。
横須賀:
情けなくて帰れなかったです。実家には、全部正直に話してましたが、素直じゃなかったということもあるかも知れませんが、帰れなかったですね。何とか結果を出さないと、と思っていました。
自分の身分を、誰かに左右されるのはもう嫌だ!
ガイド:その状況で、頑張り続けられたのは?
横須賀:
「最初に、お金に関して最悪の状況というのを、考えておきました。」 |
それと、最初に、お金に関して最悪の状況というのを考えておいたんです。先ず、お金が無くなったらどうしよう。そしたら、取り合えず借りよう。借りて、足りなくなったらどうしようか。もうちょっと色んなところから借りよう。もし、返せなかったらどうしよう。自己破産すれば…。自己破産して全部無くしたら、実家へ帰って、土下座しようと。そして、またゼロからバイトを始めようと。
そこまで考えたら、(自分の中で)リスクがゼロになったんです。マイナスになることは無いと思いました。たまたま、私は若かったし、両親も健在だし。それが唯一の救いだと思い、そこまでは、頑張れるだろうと考えていました。でも、幸いなことに、お金は借りずに済みました。
ガイド:
それって、リスクマネジメント(不測の事態対応計画)ですよね。自分の中でシミュレーションして、こうなったらこうする。最悪はココ。それを事前に考えておくと、その局面になった時にあわてなくてすみます。成功哲学では、成功のイメージを描けとばかり言いますが、現実の経営では、常にリスクを考えておかないと。それを、やっていたことになりますね。
アナログ営業を全てやったら資金ショート
そこで、立ち戻ったのが、インターネットだった
ガイド:ブログを立ち上げたのは、開業の翌月ですか?
横須賀:
実は、ブログの前に、ものすごいアナログの営業をやりました。お金が無くてもできる営業は、「飛び込み営業」だと思って、近所の商店街を100件位ガァーと回ったり。でも、うまくいきませんでした。チラシを作ってポスティングしても、1件も仕事が来ない。自分で、ホームページを作ったけれどアクセスがない。メルマガを出したけれど、読者がつかない。タウン誌の広告もやってみました。
結局どれもうまくいかずに、お金が無くなっちゃったわけです。それで、立ち戻ったのがインターネットでした。最初、ブログは、ホームページのアクセスアップのために開設しました。検索エンジンで上位表示させるための相互リンクですが、お願いするのは大変なので、自分でもう1つサイトを作ろうと思ったのが切っ掛けです。無料で優良なプロバイダを探して、楽天を見つけました。
だから、日記を書くつもりは無かったんです。それに、当時の自分の感覚では、日記を公開するなんておかしいと思っていました。日記って、自分で書いてしまっておくもんだろと。(笑)ただ、せっかくなので、簡単にプロフィールを書いて、日記を2、3行書いてみたら、アクセスが30とか40とかあったんです。自分のホームページのアクセスが、1日に10とかだったので、これは、ラストチャンスだと思いました!そこで、徹底的に人気あるブログを研究して、アクセスを増やそうと思ったのが、第一歩です。
ターニング・ポイントは、
廃業しようと思った時に、やって来た!
ガイド:ターニング・ポイントは、その後にですか?
横須賀:
(ブログからホームページへ誘導して)ちょっとずつ仕事が増えて行ったのですが、収入は、10万前後から、15万あたりを行ったり来たり。気持ちの波も、それに合わせて上下していました。再就職するなら今のうちがチャンスなのかと、弱気になることもありました。
そんな不安定な時期に、九州の行政書士の方から、大阪で開催されるというセミナーに誘われたんです。“九州ベンチャー大学の栢野さんのセミナーがあるから来なよ”と。大阪じゃ、ハッキリ言って、交通費の方が高くつきます。でも、このままウダウダしていても、変わらないと思って、なけなしのお金を払って、セミナーに参加しました。それで自分が変わらなかったら、廃業しようと思って出かけました。
で、大阪に行って、栢野さんに会って話しを聞いて、帰ってきて、そこが一番のターニングポイントです。最初に影響を受けた人といえば、栢野克己さんです。その方の本も、ビジネス書としては、影響を受けていますね。「小さな会社・儲けのルール」という本です。
ガイド:
ランチェスター経営、という本ですね。
横須賀:
そうです。経営の話もためになったんですが、栢野さんの素直で飾らない生き方にショックというか、感動しました。私みたいな若造の話をキチンと聞いてくれました。お話を聞くと、栢野さんご自身も大変な思いをされていて。
それに対して、自分は本気でやっているんだろうかと。
自分に立ち戻ってきたんですよ。
会社首になってから家にこもってウダウダして、なんとなく行政書士を始めてしまったけれども、収入も上がったり下がったりで、どうなんだ、と。自問自答を始めました。
そこで、一回、整理してみようと思ったんです。先ず、“なんで行政書士で独立してたのか?”を考えました。その時に、最初出てきた感情が、強い怒りだったんです。“なんで、俺、会社首になってるの!”って。考えても、何も悪いことはしていない。何も首にすることはないだろうと。しかも、23で会社をほっぽり出されて、どうすればいいのとなった時に、“これはもう、見返してやるしかない!”と思いました。
そこから、人生の逆転劇が! それはブログから始まりました。次ページへ続きます>>