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―税理士は教えてくれない「自転車操業」の極意 借金バンザイ!(2ページ目)

中小企業の自転車操業。だがそれは悪いことではない。ただそのコツを知り、上手に資金繰りのペダルを漕いでいけばいい。借金だって同じこと、借金には借金の法則がある!

執筆者:藤井 孝一


【1】

月商1ヶ月分の預金残高があるかないかの会社は、みな自転車操業だ。毎月入ってくるお金を待ち、なんとかその月の支払いをしている状態だからだ。

月商1億円を誇ろうとも、仕入れ先への支払いや、家賃などに同じくらいの支払いがあるのが普通だ。だとしたら仮に月末の預金残が3000万円あっても、売上げの入金を待たなければ支払えないのだ。

月商1億円の会社が月末に500万円しかないとしたら、これは月給50万円のサラリーマンが、月末には25000円しか手元にお金がない状態と同じだ。

サラリーマンも毎月盛んに積み立てをし、保険をかけ、カードの返済をしていたら、リストラなどで給与をカットされたとたんに資金が回らなくなる。会社もそれと同じだ。

このように考えると、ほとんどの会社が自転車操業だ。ペダルをゆっくりこいでいるか、競輪選手のようにめちゃくちゃに漕いでいるかの違いがあるだけだ。だから何も恥ずかしがることはない。

【2】

自転車操業は悪いことではなく、当たり前なのだから、早くそれを認め、きちんと準備しておくべきだ。自社が自転車操業だと認識できれば、お金が足りなくなるときはあらかじめわかるものだ。

いくら借金をしていても返済が順調なウチは、融資などと呼び、あまり気にならないものだ。ところが返済がきつくなったりするから、その融資が借金になってしまうのだ。

買掛金や手形も同じだ。どんなに金額が大きくても、支払う期日に預金残があれば借金などとは思わない。経営が順調なときは、金を借りることを資金調達などと呼ぶが、結局これも借金なのだ。

支払日にお金がなければ、手形のジャンプ、小切手のスキップ、商工ローンに頼ることになる。そうなると連帯保証人にも迷惑がかかる。そうなる前にきちんと借金をしておくべきなのだ。

【3】

「ウチは借金が少ない」と豪語する会社も、ツケを仕入れ業者に回していることが多い。手形や買掛がやたらと多い会社だ。こんな会社は売上げが前年割れしたらすぐ資金ショートする。

要するに、銀行の借金だけが借金ではないということだ。貸借対照表の負債の部にある金額は、すべて借金だという認識を持つべきだ。いくら自己資本比率が2割あろうが、残りはすべて借金なのだ。

無借金経営というのは、自己資本比率100%の会社だけを言う。そんな会社は滅多にない。つまり、会社や自営業とは借金を負っているものなのだ。大事なことは、借金の中身と借り方・返し方だ。

【4】

会社が借金するときに、最初に思い浮かべたいのが銀行だ。最近は頼りにならないと言われている。だが、うまく使えばまだまだお金を貸してくれる頼りになる存在だ。ただしうまく借りる必要がある。

特に、借りる際に知らねばならないことがある。それは貸す貸さないは、あくまでも銀行の都合で決められるという前提だ。いくら融資実行が正当でも、合理的でも、この前提は絶対に変わらない。

市や県が制度融資や制度資金など様々な公的資金を用意している。だが、これとて、条件に合致さえすれば借りられるわけではない。結局、取引銀行が審査をしているからだ。

では、銀行が融資するか、しないかの判断基準はどこにあるのだろうか。一言で言えば、銀行が貸したいかどうかで決まる。貸したくなる状況はいくつかある。

まず、ときどきの状況によって貸したい商品と貸し方がある。派手な広告打って、ビジネスローンとか○○ローンなどとキャンペーンをやっている商品はねらい目だ。

次にそれぞれの支店の現場の目標数字がある。ノルマと呼んでもいい。銀行には、預金獲得のノルマと同じように貸出しのノルマもあるのだ。

最後は、相手が貸したい会社かどうかだ。これはまず決算書が融資条件にあてはまるかどうかだ。ただ最後に貸すか貸さないかの分かれ目になるのは、社長の第一印象だったりする。心得ておくべきだ。


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