借金バンザイ!
―税理士は教えてくれない「自転車操業」の極意


 著 者: 小堺 桂悦郎 (著) 体 裁: 単行本: 199 p
 サイズ: 182 x 128
 出版社: フォレスト出版
 ISBN : 4894511630
 発行日: 2004/03

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ほとんどの中小企業が自転車操業。だがそれは悪いことではない。ただそのコツを知り、上手に資金繰りのペダルを漕いでいけばいい。借金だって同じこと、借金には借金の法則がある。バブル崩壊前から銀行に勤め、のちに税理士事務所で資金繰り相談にのってきた著者が、資金繰りの手法を指南。

●今週の選書について

本書は、今まで誰も書かなかった会社の借金について、実在の企業をベースに、面白く、わかりやすく解説した本です。借金には悪いイメージがあるせいか、これまで誰も詳しく語りませんでした。

実は、会社というのは赤字決算を何年続けても潰れません。事実、日本には、現在約276万社の法人があり、うち72%が赤字と言われています。それでも年間倒産件数は2万件以下にとどまっています。

では、赤字でも潰れない会社が、潰れるのはどんなときでしょう?それは、銀行口座にお金がなくなったときです。口座のお金がなくなって、支払いができなくなった時、会社は倒産するのです。

これは個人でも同じです。いくら高額な給料をもらっていて、明日が給料日でも、今日、住宅ローンやカードの支払いができなければ、家計は破綻します。

そうならないように、日ごろから家計簿をつけるべきですが、いざそうなったら、あとは身内や知人を頼るか、消費者金融に駆け込むしかありません。



会社の場合には、口座からお金がなくならないようにするために様々なテクニックがあります。その代表が、銀行と交渉して返済を遅らせるリスケジュール、略してリスケです。

その他、手形のジャンプ、小切手のスキップ、融通手形などいろいろなウラ技があります。本書は、こうした借金の仕方や、返し方の工夫で、会社の倒産を回避する手だてが詳しく解説されています。

借金の返済に悩む経営者(ほとんどだと思います)が読めば、勇気づけられるに違いありません。そのほかにも、これから起業したい人は必読です。

●借金のある経営者は魅力的?

なお著者が、借金のある経営者を人間的な魅力のある人と評していることには共感しました。確かに魅力がなければ、借金なんてできません。そもそも借金する羽目になったのも、経営などという茨の道をあえて選び、どんどんビジネスを拡大したからです。

こうしたリスクテイカーが、需要と雇用を創出し、経済を活性化しているのは事実です。逆にこうした人が現われなければ、日本はいつまでも元気になりません。

ただ、私自身は起業する人には借金をしないことを勧めます。特に、これまでサラリーマンだった人が起業する場合は要注意です。借金には、ある程度の知識と訓練が必要だと思うからです。

だからといって、起業家は手持ちのお金の範囲でビジネスをしろ、というわけでもありません。本来、起業家は持ち金でなく、ビジョンに従って業を起こし、行動すべきだからです。



ビジョンを実現する金がなければ、用意するのです。そのためには、ビジネスプランを作成し、必要な資金を見積り、協力者を見つけ、出資をあおぐのです。

とりあえず会社を作り、規模が大きくなってから資金戦略を考えるということでもいいのですが時間がかかります。理想的には起業時に方針を打ち出し、資金が必要なら調達して経営に当たるべきです。

大企業は、結果的に大きくなったのでなく、起業当初から大企業になるべくしてなっています。そう考えれば、起業時の資金調達に関する考え方も、自ずと変わってくるはずです。

最近、資本金1円でも会社が設立できるようになりました。今後は商法を改正し、これを特例ではなく恒久化する方向にあるようです。「起業」のハードルを低くして開業率をあげようというわけです。

こうなると借金依存の起業家は、再び増えるはずです。なぜなら、登記のハードルは低くなっても、事業に資金が必要ならやはり調達しなければならないからです。

資本金が少ない企業は必然的に借入金に頼ります。その時、本書にあるノウハウは、必見になるはずです。


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