企業のIT活用/IT経営の基礎知識

Web2.0な日々 ロングテール理論(2ページ目)

2:8の法則とも呼ばれるパレートの法則が有名で、在庫管理のABC分析などに活用されています。ところがWeb2.0時代となり新しくロングテール理論が登場です。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

ロングテール理論とは

本のネット販売が始まるようになり、このパレートの法則が変わりつつあります。
パレートの法則:20%の商品で80%の売上
パレートの法則:20%の商品で80%の売上

売上高の高いもの順に商品を並べていくと、左によく売れる商品が集まります。パレートの法則では「売上の80%は全商品の20%が生み出している。」とも言います。
在庫管理のABC分析はパレートの法則が前提になっています。
→ その在庫は本当に必要No2 ABC分析を行う
町の本屋のように死に筋を返本しなくてよい
町の本屋のように死に筋を返本しなくてよい

本のネット販売でも、やはり町の本屋と同じでベストセラーがたくさん売れました。売れ筋商品はリアルでもネットでも変わりません。

ところが違っていた部分があります。町の本屋では売れないということで返本の対象となる商品、いわゆる死に筋商品です。

ネット販売の場合、売り場はウェブサイトになりますので、地価の高い一等地のお店は必要ありません。地価の安い土地に物流を備えた倉庫を用意し、顧客に配送します。

売り場の効率化を考えずにすみますので、町の本屋では手に入らない学術書や専門書などをウェブサイト上の棚に並べることができます。ネットでは死に筋ということで捨てていたニッチ商品を棚においておくことができます。

結果、どうなったかと言えば
ニッチ商品がロングテール状に
ニッチ商品がロングテール状に

パレートの法則では売上の20%しかないと重要視していなかった部分が無視できない売上になりました。恐竜の尻尾のようにずっと右の方にまでニッチ商品が並び、少量販売ですがチリも積もれば山となるで、大きな売上になります。

これがロングテール理論です。ロングテール理論は米WIRED誌の編集長だったクリス・アンダーソン氏が2004年10月に発表した「the Long Tail」という記事の中で提唱した理論です。

ロングテール理論をビジネスに生かす

では、ロングテール理論をどうビジネスに生かせばよいのでしょうか。

ニッチ商品があるのなら、手間をおしまずウェブサイトに掲載することです。きっとニッチ商品を探している人がいます。

ただ単純にニッチ商品を掲載するだけでなく、その商品を探している人が検索時に使いそうなキーワードを商品説明に書いておくことです。完売した商品であっても、よく似た商品や代替品があるのなら商品ページを消さずに別の関連ページにリンクをはっておきます。
ロングテール理論をビジネスに生かすには
ロングテール理論をビジネスに生かすには

企業としてウェブサイトやブログで情報を発信しているのであれば継続することです。

過去に作成したウェブページは検索エンジンに登録され、トップページに出ていなくても、ニーズのある人が検索エンジンでたどりつきます。

例えば、この「企業のIT活用」は2002年3月20日にスタートしましたが、このガイド記事が141本目にあたります。「企業のIT活用」のトップページには最新のガイド記事が表示されていますので、アクセス数が多くなります。つまり売れ筋です。

2002年当初のガイド記事は「記事一覧」から7ページほどさかのぼった奥に隠れています。ですが4年前に書いたガイド記事にもあいかわらずアクセスがあります。多くは検索エンジン経由でたどりついた方です。これがニッチ、つまりロングテールです。

ロングテール理論をビジネスに活用するのなら、「情報発信を続け、継続すること」まずこれが第一です。

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