本当に必要な在庫ですか?在庫管理はできていますか?
倉庫に在庫が山積みに
赤字続きで経営が苦しいと相談がありました。さっそく相談のあったメーカーをアドバイザーが訪れてみると……
アドバイザー:「社長さん この箱の山はいったい何ですか?」
社長:「製品ですが」
工場横の倉庫にたくさんの製品が幾重にも山済みされていました。
アドバイザー:「こんなに在庫が必要なんですか?」
社長:「少し多いかなとは思いますが、納期遅れもなく取引先には喜んでもらっています。」
在庫は確かに必要ですが作りすぎてはいませんか
製品をロット生産する場合、注文以上の数であってもロット単位で作る方が生産回数を減らすことができ結果として製品1個あたりの製造費用が少なくてすみます。また在庫があれば注文があった時に製品がないことによる販売ロスを防げます。※「ロット」ひと山、ひとかたまりという意味で、ある製品を一度に生産する製品のまとまりのことを言います。
現在は製品の陳腐化が激しい時代です。新製品を出しても競合から次々と新しい製品が登場し、せっかくの新製品が売れなくなってしまいます。製品を作りすぎてしまえば、結局売れずに不良在庫になってしまいます。
また在庫を保管する場所が必要になります。在庫を維持するための倉庫の賃貸料や保険料、税金などの経費がかかります。不必要な在庫はお金が在庫の形に変わって寝ていることになり資金繰りに影響してきます。
アドバイザー:「社長さん、製品回転率はどれぐらいになりますか?」
社長:「製品回転率って何ですか?」
まずは製品回転率を調べよう
在庫を保管するにはお金がかかる
アドバイザー:「貸借対照表の製品と損益計算書の売上高から計算する指標です。計算式は
製品回転率 = 売上高/平均在庫高 (回転)
で計算します。」
社長:「製品回転率でなにがわかるのですか?」
アドバイザー:「製品回転率で1年間に製品が何回転したかが分かります。製品を作り、販売することによって製品が売上に変わります。これが1回転。次にまた製品を作って売ります。これで2回転になります。つまり在庫が販売を通して入れ替えが行われた回数となります。」
社長:「製品回転率は多い方がよいのですね。」
アドバイザー:「そうです。製品回転率が多いということは入出庫が多く、製品がよく売れていることになります。では計算してみましょう。」
製品回転率を計算してみよう
製品回転率が多いということはよく売れていること
製品回転率の計算で使う平均在庫高は、期首と期末の製品の平均値を使用します。ただし在庫の変動が多い業種では月末などに棚卸した数字を使います。
12月31日に棚卸し、期末の製品在庫が4,500万円、期首が3,500万円とすると平均在庫は(4,500+3,500)÷2で4,000万円となります。売上高が64,000万円なら
製品回転率 = 売上高/平均在庫高 = 64,000万円/4,000万円 = 16回転
社長:「16回転というと1年間に16回製品が売れたということですね。」
アドバイザー:「そうなります。別な言い方をすれば製品が16回入れ替わることによって1年間の売上げができたことになります。製品回転率を使って製品が販売されるまでの平均期間が分かります。こちらも計算してみましょう。」
平均期間 = 365日(1年)/16回転 = 22.8125日
アドバイザー:「約23日を周期として在庫が回転していることになります。今、製品を作る日数はどれぐらいかかっています?」
社長:「モノによりますが一番長いので15日ですね。」
アドバイザー:「15日ですか。作るのは15日でできるのに売るのに23日かかっているわけですね。そうなると在庫が過大になっているおそれがあります。」
社長:「なるほど。」
現状把握するための準備をする
製品回転率が低い場合、効率が悪い商売をしている可能性があります。必要以上に多くの在庫を抱えていないか、不良在庫になっていないかチェックが必要となります。アドバイザー:「まずは現状を把握するところから始めましょう。製品別の売上高は把握されていますか?」
社長:「いや、やっていません。」
アドバイザー:「ではそこから始めましょう。全部の製品を一度にやると大変なので製品単価が高いものとよく動くものに絞って把握しましょう。まず選び出した製品に製品コードをつけて、売上を計上する時にその製品コードを入力するようにしてください。これで製品別売上高を把握できます。」
社長:「さっそくやってみます。」
製品別売上高を現状把握し、どの製品を重点管理するのかABC分析を行いましょう。
→ 『ABC分析を行う』
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