中古マンションにお住まいの方はキッチンや洗面所、あるいは浴室の排水口から悪臭がした経験をお持ちではないでしょうか?生ゴミや油などを下水に流してしまうことによって排水管内にこびりついてしまい、流れることなく老廃化して悪臭を発生します。
香港や中国、さらにシンガポールなどで感染者や死傷者が報告されるSARSの集団感染が起こった香港九龍地区の大規模マンション「アモイガーデン」でも同じようなメカニズムでウイルスが広がったようです。
■香港政府の調査報告
4月17日に香港政府が発表した調査報告によると、SARSウイルスを含んだ水蒸気が排水管を通じて下水管から浴室に流れ込んだのが原因とみられています。すでに感染していた男性が同マンションに住む弟夫婦を訪問し接触感染したのが一次原因とされていますが、アモイガーデンの各棟には、それぞれ8本の下水管があり各階の同じ位置の住戸をつないでいます。下水管は、各戸でトイレ、流し台、バスタブ、バスルームの排水口につながっており、このパイプを通じて同建物内の居住者へ広がっていった模様です。
通常は排水トラップ(※)によって排水管からの悪臭や水蒸気が逆流しない仕組みとなっていますが、水分が蒸発して空洞となってしまっていたのが感染を助長したようです。さらに感染者の排泄物にもウイルスが確認されたことから、流れ切らずに管内にこびりつき発生源となったとみられています。