■個人版民事再生法の活用

住宅ローンをかかえる給与所得者等の場合 ~給与所得者等再生の特則~

続いて、給与など定期的な収入を得る見込みがある個人(サラリーマンなど)が「住宅ローン」および「その他借金」を抱えている場合、その他借金の総額に応じて決められた金額(前ページと同じ)を3年間返済し続けることができれば、原則として住宅ローンはそのまま(返済は存続)ですが、その他借金は残額があっても残りはすべて免除されます。

最低弁済基準額は小規模個人再生の特則と同額ですが、給与所得者等再生の特則では可処分所得(※)の2年分以上という基準が加えられます。たとえば1年間の可処分所得が60万円とすると
 同法適用前適用後1~3年間適用後4年以降
住宅ローン2000万円2000万円2000万円
その他借金小規模個人300万円100万円0円
給与所得者等300万円120万円0円

※可処分所得とは年収から社会保障費や租税、ならびに最低生活費を控除した金額のこと。


1~3年間に弁済すべき最低額が120万円となるのです。また2年間の可処分所得が80万円だとすれば、最低弁済額は100万円(本則通り)となります。


当該特則も前ページ小規模個人の特則同様に、3年間は何が何でも再生計画に従って返済を断行しなければならず、融資住宅およびその敷地に住宅ローン以外の抵当権がついていてはいけません。最大の違いは債権者の同意を必要としない点です。


■弁護士費用は?

弁護士に介入依頼することとなりますので、弁護士費用が必要となります。あくまで一般的な例ですが、申立てから再生計画認可の決定まで6ヶ月程度、計画の実行が3年間としておおよそ60~80万円かかります。その他、印紙代や切手代、裁判所への予納金などで数万円の実費が必要です。

なお、借金の返済に困っている人が一括で80万円を支払えるはずがありませんので、ほとんどの弁護士が分割返済に対応してくれるようです。


■多重債務に苦しんだら・・・

今回は個人版民事再生法をご紹介しましたが、同法は「多重債務をかかえつつマイホームは守りたい」という方のための制度です。ローンの残額と住宅の時価が同程度かマイホームの時価が上回るようであれば、一度ご自宅を売却し、売却資金ですべての借金をきれいに清算するのもひとつの方法です。

また、住宅ローンの返済自体も苦しいとなれば融資元の金融機関と相談をして、返済期間の延長や一時返済据え置きなどの手続きをとりましょう。何もせず滞納額だけが膨らんでいくことだけは避けなければなりません。


<ご注意>
個人版民事再生法の概略を紹介しているだけですので、細かい規定にはふれておりません。また、同法の詳しい内容や相談には応じられませんのでご了承ください。お問合せは直接、最寄の弁護士会へ。 

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