マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

破産するか?個人再生か?? 合法的に多重債務を踏み倒す方法

減給・リストラ・会社倒産など、停滞経済のあおりを受けて収入が減少した場合に、すでに組んでいる住宅ローンが支払えなくなったら・・・借金免除の法的ルールをご紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

■個人の自己破産件数は年間で約24万件

最高裁判所の調べによると、平成15年1年間で自己破産を申請した個人は約24万人。前年比でおよそ13%増となり、過去最悪を更新しています。景気低迷に伴う深刻な企業倒産やリストラが主な原因ですが、商工ローンで保証人となった人が追い込まれたり、もちろん住宅ローンの返済負担に押しつぶされることも件数悪化を助長していることは間違いありません。

自己破産とは債務返済が不可能な人に経済的な再起の機会を与える目的で破産法で定められた制度。債務者は自ら裁判所に申し立てを行い、裁判官から破産についての審尋を受ける。裁判所が審理し「支払い能力がない」と認められれば破産宣告が出され、宣告確定後は給与の一部が差し押さえられたり弁護士や会社役員などの職業に就けないといった制限を受ける。
続いて免責の申し立てを行い裁判所の審尋を受け、免責が確定すれば債務は免除(借金はチャラ)され、職業制限なども回復することとなる。


ここで問題となるのが、自己破産を申請・確定すると保有財産(不動産・マイカー・生命保険・退職金など)は処分されてしまいますので、マイホームも手放さなければならなくなります(当然ですよね)。


■個人版民事再生法の活用

しかし、もどれる実家があったり、新たに賃貸生活がスタートできればいいですが、生活の基盤たるマイホームは守りたい(引き続き住んでいたい)となると自己破産は避けなければなりません。そこで借金に苦しむ給与所得者や個人事業主を救済し、同時にマイホームを手放さずにすむ手段が平成13年4月に施行された個人版民事再生法なのです。

以下、2種類の特則を紹介していきます。

住宅ローンをかかえる小規模個人の場合 ~小規模個人再生の特則~

収入に幅がありかつ不定期だが、将来において継続的に収入を得る見込みがある個人(主に個人事業者)が「住宅ローン」および「その他借金」を抱えている場合、その他借金の総額に応じて決められた金額(下図参照)を3年間返済し続けることができれば、原則として住宅ローンはそのまま(返済は存続)ですが、その他借金は残額があっても残りはすべて免除される制度です。たとえば

       <同法適用前> <適用後1~3年間> <適用後4年目以降>
住宅ローン  2000万円       2000万円        2000万円
その他借金   300万円        100万円           0円  

※住宅ローンも返済をしているため厳密には残高が減りますが、ここでは便宜上2000万円として表記しています。 

個人再生の申請を行い、裁判所により再生計画が認められると、「その他借金」300万円が100万円(最低弁済基準額)となり、3年間かけて100万円を返済しおえると、残りの200万円は合法的に免除されます。そして、結果として4年目以降は住宅ローンだけの返済となるのです。さらに、住宅ローンの返済も厳しいとなると、返済期間を最長10年間延長(債務者の完済年齢が70歳を超えてはいけない)することもできます。

住宅ローンを除いた債務総額最低弁済基準額
3000万円超個人再生不可(通常の民事再生のみ)
1500万円超~3000万円以下300万円だけ弁済
500万円超~1500万円以下5分の1(20%)だけ弁済
100万円以上~500万円以下100万円
100万円未満負債額全額

注意点として、一定数の債権者の一部債務免除に関する同意を取りつける必要があります。また、3年間は何が何でも再生計画に従って返済を断行しなければなりません。途中での挫折は許されないのです(ただし特例あり)。さらに、融資住宅およびその敷地に住宅ローン以外の抵当権(事業資金借入のための担保権など)がついていてはいけません。
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