6割近くが飼育を禁止している


国土交通省が5年に一度、マンション管理組合と当該居住者に対して行なうマンション総合調査(平成15年)によると、58.2%の管理組合が「ペットの飼育を禁止」としており、「限定的に認めている」割合が27.9%、「全面的に認めている」のはわずか2.6%となっています。古くからの慣習として、「マンションなどの集合住宅でペットを飼育することはタブーである」といった既成概念がいまだに顕在しており、アンケート結果にも鮮明に表れています。

しかし一方では、ペット飼育に対する考え方も変化の兆しを見せ、「家族の一員」「伴侶動物(コンパニオン・アニマル)」といった関係が少しずつ構築されつつあり、旧来の「番犬」「愛玩動物」は影を潜めはじめています。とりもなおさずペットの社会的地位が向上していることに他なりません。


一律全面禁止を言い渡されたら・・・


このように「マンションでペットを飼いたい」というニーズがある半面で「ペット嫌い」の人も大勢おり、両者のバランスを取ることは簡単ではありません。前出アンケート結果でも1割の管理組合では「ペット飼育の規則はない」としており、対応はマンションごとにまちまちなのが現状です。

ペット飼育のルールが不明瞭なため、黙って室内でペット(特に犬や猫)を飼っている居住者は少なくないと思いますが、突然に飼育の全面禁止を言い渡されたら既飼育者は反論できるでしょうか?


犬の飼育禁止は有効 東京高裁


平成6年8月に東京高等裁判所で「ペット飼育禁止」をめぐる訴訟が管理組合から起こされ、実際に争った裁判があります。

Aマンションの住人Y(被告)は昭和60年3月の入居以来、犬を飼育していましたが、B管理組合が同61年2月に臨時総会を開催して規約の改正をおこない、Aマンションでペットを飼育することを禁止としました。そして、B管理組合の管理者X(原告)が飼い主Yにペット飼育の禁止を訴えたのでした。

当該事案の判決はマンション内での犬の飼育禁止を定めた管理組合の規約が一部の区分所有者(本件ケースでは飼い主Y)の権利に特別の影響を及ぼすものとはいえないというもので、ペット飼育の禁止が認められました。

■犬の飼育禁止請求控訴事件  東京高裁 平成6年8月4日の抜粋
 マンション内における動物の飼育は、一般に他の区分所有者に有形無形の影響を及ぼすおそれのある行為であり、これを一律に禁止する管理規約が当然に無効とはいえず、Y(飼い主)が本件マンションにおいて犬を飼育することは、その行為により具体的に他の入居者に迷惑をかけたか否かにかかわらず、それ自体で管理規約に違反する行為であり、区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるとし、

 また、動物の存在が飼い主の日常生活・生存にとって不可欠な意味を有する特段の事情がある場合にはその飼育を禁止することは飼い主の権利に特別の影響を及ぼすものといえるが、本件ではその特段の事情を認めるに足る証拠はないから、本件規約の改正はYの権利に特別の影響を与えるものではないとして、X(管理組合)の請求は理由があるとし、Yの控訴(横浜地裁平成3年の判決のこと)を棄却した。


あいまいなルールが誰もを不幸にする


ペット飼育に関するトラブルは、マンション暮らしで常につきまとう「永遠のテーマ」ですが、その根源はペット飼育に関するルールのあいまいさであることは疑う余地がありません。「他の居住者に迷惑を及ぼすようなペットを飼育してはならない」といった解釈に迷う文面が、未飼育者と既飼育者のどちらをも不幸にするのです。

「なるようになっているので今さら・・・」
「トラブルが起こったら対応を考える」

こうした後ろ向きな対応は、早く卒業したいものです。

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