マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

家庭に潜む危険! バルコニー転落から子供を守れ!

バルコニーから子供が転落したら・・・こうした危険が誰のマンションにも潜んでるかも知れません。どうすれば我が子を守れるのか?対応策を考えてみましょう。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

目を離した瞬間に家庭内事故は発生する



都内にあるマンション5階のバルコニーから、2歳の男の子と4歳の女の子が転落した。その当時、母親は部屋にいたが、もう1人の子供と添い寝をしている間に寝込んでしまい、2人の子どもはバルコニーで遊んでいるうち、荷物を足場にして高さ約1.2メートルの手すりを乗り越えて転落した。高さは12メートルあったが、2人とも腕や足の骨折で最悪の事態は免れた。

☆   ☆   ☆   ☆   ☆


「安全神話の崩壊」という言葉がメディアで取り上げられる機会が増えましたが、列車の脱線や食品の偽装表示、あるいは高齢者への詐欺行為にとどまらず、家庭内の事故でも安全の崩壊は起こっています。お子さんがバルコニーから転落する事故は典型例の1つで、冒頭のようなニュースは珍しいことではなくなっています。危険を察知した読者からも、以下のような相談が寄せられました。


昨年、新築マンション(15階建て)を購入し、夫と1歳の子供の3人で14階に住んでいます。購入前にモデルルームで見たバルコニーは、手すりの高さが130cmくらいだったのですが、実際に入居してみると100cm弱で、子供が転落するのではないか気がかりです。安全対策を講じたいと思い、建設会社のサービス対応窓口に相談したところ

「建築基準法はクリアしており、モデルルームと異なるのは施工誤差と水勾配を取るために補正しているためです。低さが気になるのであれば、既存の手すりの内側にもう一つ同じ高さの手すりを取り付けたり、転落防止用にネットをはる、あるいは、手すりそのものを高さの高いものに交換することも一法ですが、外観上の問題が発生するため建物管理者との協議が必要になります。また、開口部分をすべて塞ぐことは消防法上許されませんので、消防署とも協議が別途必要になります」

と回答がありました。素人考えで知恵を絞ったところ、手すりに有刺鉄線を巻き、子供に絶対近づかないように言い聞かせるのが手っ取り早いと思うのですが、これでは景色が台無しです。いいお知恵がありましたら教えてください。
 

建築基準法は“最低限度”の基準


まず、施工会社の回答らしいと感じるのが「建築基準法はクリアしており・・・」という応対で、「法律違反ではないので(当社に)責任はない」と言わんばかりのコメントです。建築基準法は「建築物に関する最低限の基準を定めている(第1条)」に過ぎないので、本来であれば企業側にさらなる工夫が求められるはずなのに、何とも無責任に感じてしまいます。

さて、転落防止方法について「手すりの高さが不十分なために、子供の転落する危険がきわめて高い」ことが誰の目にも明らかであれば、施工会社あるいは売り主に対して改善請求する余地があるように思います。先方がすんなりと認めるとは考えにくいので、マンション内の他の居住者にも意見を集め、管理組合レベルでの交渉を行なって下さい。まずは理事会に相談を持ちかけ、同じ危機意識を持つ仲間を見つけることが先決です。

その際、モデルルームと実際とを比較して、手すりの高さに30cmもの差が生じているようですが、パンフレット(図面集)に記載されている手すりの高さは「100cm弱」となっていますでしょうか?契約時の書類と異なる場合は広告表示の不備ですので、契約違反に相当します。


バルコニーは共用部分なので勝手には変更できない


次に、「手すりを二重にする」「手すりを交換する」などの具体案がサービス窓口から出されていますが、ご存知のようにバルコニーは共用部分ですので、たとえ自費であろうとも単独で共用部分を変更することは規約違反になります。総会の決議を経なければなりませんので、ご注意下さい。

また、「ネットをはる」行為は共用部分の変更にはなりませんが、美観の問題が出ることは避けられません。鳩やカラスを撃退する(別の)目的でバルコニー全体をネットで覆っている住戸を見かけることがありますが、恐らく管理組合の許可をもらっているはずです。それと「手すりに有刺鉄線を巻く」ことも絶対にやめましょう。かえって危険です。

子供がバルコニーから転落する事故のほとんどが、足元に「踏み台」となるものが放置されていたり、「エアコンの室外機」を足がかりに手すりによじ登って遊んでいるときに起こっているように思えます。幼児は身体能力が未発達ですので、自分の体を自分で支えきることは難しいはずですし、頭が重いので、ふざけているうちに勢い余ってバルコニーの外側へ体が飛び出してしまい転落するのです。そこで、今すぐにできる防衛策として

◆バルコニーで遊ばせるときは、親が目を離さない
◆足がかりとなるもの(例えばおもちゃやバケツ)を放置しない
◆転落の危険があることを、お子さんにも教える

といいでしょう。遊ばせられるだけの広いバルコニーがあるからこその、贅沢な悩みかも知れませんね(笑)。


【関連サイト】
子供のための安全な家づくり(家を建てる)
育児・赤ちゃん
我が家にひそむ「7つ」のリスク
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます