マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

静かな時限爆弾!アスベストの脅威を知る

以前から健康被害について問題視されていたアスベストの恐怖が急に報道されています。「静かな時限爆弾」という恐ろしい異名を持つアスベストとは何なんでしょう?一体どういう悪影響を及ぼすのか調べてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


「「静かな時限爆弾」とも呼ばれるアスベスト。我々の健康をむしばむ新たな脅威が一連の報道でクローズアップされるようになりましたが、アスベストの被害が問題視されたのは今に始まったことではありません。1975年に吹き付け作業が原則禁止され、世界保健機関(WHO)でも80年にアスベストを発ガン性物質と断定し、吸引してから30年前後で中皮種(ちゅうひしゅ)を発祥する危険性があると指摘していました。

にもかかわらず、なぜ今、被害者が多発するのか?シリーズで、アスベストの現状や問題点、さらに、既存マンションでの具体的な対処方法についてお伝えしてまいります。今回は、アスベストの特性や健康被害の現状についてです。


すべては報道ステーションのニュースから


「今年6月に大手機械メーカー“クボタ”の社員らが、アスベストが原因とみられる疾病で多数死亡していた問題がテレビで報道されて以来、電話回線がパンクしそうなほどの問い合せや調査依頼が当社に殺到している」と衝撃ぶりを語るのは、アスベスト除去や建物の大規模修繕工事などを行なう「ヤシマ工業(株)」の松岡忠孝専務。同社は88年に米国ライセンスを取得するなど、国内では早くからアスベストに取り組むパイオニア的な存在で、インターネットやアスベスト関連のテレビ番組で同社が取り上げられるたびに、問い合せが集中しているといいます。

そもそもアスベスト(石綿)とは、天然の鉱山から取れる繊維のことで、日本国内ではほとんど産出できないため、カナダや南アフリカからの輸入に頼っているそうです。長さは1mmから数センチ、太さは0.02ミクロンと、髪の毛の5000分の1の細さで、「非常に細かい物質なので、気道や気管支にとどまらずに肺の奥深くまで吸い込まれていくことが、まさに健康被害につながっている(松岡氏)」と指摘しています。

アスベスト粉じんを吸引すると、針状のアスベストは肺に突き刺さり、悪性中皮種(ガンの一種)や肺ガンの原因となります。そして最悪は、死に追いやられてしまうのです。アスベストには発ガン性があることを認識しなければなりません。

アスベスト被害を公表した主な企業(05年7月13日現在)
企 業 名死亡者数(人)
ニチアス141
クボタ(※)80
エーアンドエーマテリアル23
石川島播磨重工業20
日本バルカー工業20
三菱重工業17
太平洋セメント16
住友重機械工業14
三井造船14
JFEエンジニアリング(旧日本鋼管)
日立製作所
(日経産業新聞7月14日より引用)
※クボタの死亡者数80人には、従業員の家族1人が含まれています。
※死亡者数はアスベストが原因とみられる中皮種やじん肺、肺ガンなどで亡くなったとして企業が公表した人数です。


 【関連コラム】アスベストの害を減らす方法(家庭の医学)


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