にもかかわらず、なぜ今、被害者が多発するのか?シリーズで、アスベストの現状や問題点、さらに、既存マンションでの具体的な対処方法についてお伝えしてまいります。今回は、アスベストの特性や健康被害の現状についてです。
すべては報道ステーションのニュースから
「今年6月に大手機械メーカー“クボタ”の社員らが、アスベストが原因とみられる疾病で多数死亡していた問題がテレビで報道されて以来、電話回線がパンクしそうなほどの問い合せや調査依頼が当社に殺到している」と衝撃ぶりを語るのは、アスベスト除去や建物の大規模修繕工事などを行なう「ヤシマ工業(株)」の松岡忠孝専務。同社は88年に米国ライセンスを取得するなど、国内では早くからアスベストに取り組むパイオニア的な存在で、インターネットやアスベスト関連のテレビ番組で同社が取り上げられるたびに、問い合せが集中しているといいます。
そもそもアスベスト(石綿)とは、天然の鉱山から取れる繊維のことで、日本国内ではほとんど産出できないため、カナダや南アフリカからの輸入に頼っているそうです。長さは1mmから数センチ、太さは0.02ミクロンと、髪の毛の5000分の1の細さで、「非常に細かい物質なので、気道や気管支にとどまらずに肺の奥深くまで吸い込まれていくことが、まさに健康被害につながっている(松岡氏)」と指摘しています。
アスベスト粉じんを吸引すると、針状のアスベストは肺に突き刺さり、悪性中皮種(ガンの一種)や肺ガンの原因となります。そして最悪は、死に追いやられてしまうのです。アスベストには発ガン性があることを認識しなければなりません。
アスベスト被害を公表した主な企業(05年7月13日現在)
企 業 名 | 死亡者数(人) |
ニチアス | 141 |
クボタ(※) | 80 |
エーアンドエーマテリアル | 23 |
石川島播磨重工業 | 20 |
日本バルカー工業 | 20 |
三菱重工業 | 17 |
太平洋セメント | 16 |
住友重機械工業 | 14 |
三井造船 | 14 |
JFEエンジニアリング(旧日本鋼管) | 7 |
日立製作所 | 3 |
※クボタの死亡者数80人には、従業員の家族1人が含まれています。
※死亡者数はアスベストが原因とみられる中皮種やじん肺、肺ガンなどで亡くなったとして企業が公表した人数です。
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