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ヘルパー2級はなくなるか?(2ページ目)

介護職員基礎研修の開始、介護福祉士受験資格見直しなど変更が続く介護の資格の疑問に答える記事シリーズ。1回目はヘルパー2級は廃止かについて。

執筆者:宮下 公美子


ヘルパー2級では働けなくなる? 
ヘルパー2級講座はなくなる?

結論から言うと、当面はヘルパー2級でも働けます。2級講座がすぐに廃止になることもないと思います。
当面とはどれぐらいか、という質問も多いのですが、その答えはなかなか難しい。以前、厚生労働省の担当者に聞いたところ、少なくとも5年は、という回答がありました。しかし、5年という短い期間で働けなくなることはまず考えられません。

理由は以下の通りです。
……●理由1 基礎研修受講が一気に進むと思えない
……●理由2 「ヘルパー3級」は介護報酬廃止まで9年かかった
……●理由3 介護業界は慢性の人手不足

●理由1 基礎研修受講が一気に進むと思えない
現時点では、たとえばヘルパー2級修了より基礎研修修了のほうが介護報酬が高くなる、それによって給与も高くなる、といったような基礎研修受講を促すインセンティブはありません。そのため、いくつかの介護事業者に話を聞いたところ、現状ではなかなか雇用している現職者に受講をすすめにくい、という答えばかりでした。

まして、これから介護の仕事を始めようという無資格者が、130時間ですむヘルパー2級ではなく500時間もかかる基礎研修を、研修スタートと同時にどっと受講するとはあまり思えません。何しろ、500時間といえば、朝9時から夕方5時まで、1日7時間びっしり講習を受けても、70日以上、つまり3ヵ月はゆうにかかるというボリュームです。受講料も、8~10万円前後のヘルパー2級講座に対して、おそらく30万円程度はかかるでしょう。気軽に受講するには難しい金額です。

基礎研修を受ける人が増えていかなければ、ヘルパー2級を廃止するわけにはいかないでしょう。

●理由2 「ヘルパー3級」は介護報酬廃止まで9年かかった
基礎研修受講者が増えてきて、万一ヘルパー2級講座が打ちきりになるようなことがあったとしても、それですぐにヘルパー2級では働けなくなるようなことはないと思います。というのは、介護保険スタート時から、ヘルパー2級の下級資格である「ヘルパー3級」は介護保険上の介護職資格要件としては不十分といわれながら、ずっと介護報酬減算のまま、存続していたからです(冒頭に書いたとおり、2009年で3級の介護報酬は廃止になるとようやく決まりました)。

そう考えると、現時点で介護職の主流資格であるヘルパー2級を、そう簡単に廃止することはあまり考えられません。

ただ、ヘルパー3級が減算になったのと同じように、ヘルパー2級のサービス提供が、いずれ介護報酬が減算になる可能性はあります。これについては、次回以降「ヘルパー2級では介護福祉士とは給与に差がつく?」という見出しで取り上げる予定なので、それを見てください。

●理由3 介護業界は慢性の人手不足
2006年4月の介護保険制度改正を見ても、施設から在宅へという政策的な流れは加速しています。そのため、介護保険が始まった2000年度には17万人でスタートし、2004年度にようやく35万人に達したホームヘルパーの数を、厚生労働省は2010年度には58万人にまで増やそうとしています。これから20万人以上増やそうというのに、ヘルパー2級を廃止したら、とてもその数を達成できません。

そんなわけで、基礎研修が始まったらすぐさまヘルパー2級では働けなくなる! などと焦る必要はないと思います。

次回以降の疑問への回答記事もぜひ読んでくださいね。
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