栄養士資格の生かし方はいろいろあり、働き方は多様です。栄養士と家庭科教諭の資格をもち、「食は人間を作る基本。家庭科は社会生活を学ぶための大切な科目」と考えて、千葉県内の公立高校で家庭科を教えている相浦知子さんに、仕事の内容や今後の活動をうかがいました。
食物を通じて人と関わりたい
千葉県内の公立高校で家庭科を教えている相浦知子さん。家庭科教諭の仕事を始めてから15年以上のキャリアをもつ。 |
初めに仕事の内容を聞かせていただけますか?
相浦知子さん:
家庭科の授業を週に16~18時間担当して成績をつけるほか、クラス担任やクラブ活動の指導、校務があります。テストのスケジュールや時間割を組んだり、学校案内の作成、保護者と生徒が参加する芸術鑑賞会の企画、教育実習生を担当することもありますよ。
授業前には教材作りもします。家庭科は生活に関することが何でも教材になるので範囲が広く、生徒からの質問に備えて、日頃から新聞を読んだり情報収集しています。
ガイド:
家庭科教諭になったきっかけはどんなことでしたか?
相浦さん:
「食」に関する仕事がしたいと考えて「食物」を学べる大学を選びました。
というのは、父が以前、生活習慣病で、母が脂肪や塩分を控えた食事を作っていたんです。それを食べて父も家族も体の調子がよくなった経験から、食に興味を持ちました。
仕事に生かすことを考えて大学に進んだので、就職に有利なように資格を取得しておきたくて、栄養士課程と教職課程の両方をとりました。
初めは、卒業後、加工食品の企業などで、食品分析や商品開発をしたいという希望もあったのですよ。でも在学中に食品衛生の研究をしていく中で、研究職に向いていないと感じたのです。
ガイド:
向いていないと思ったというのは?
相浦さん:
大学では食肉にどれくらい抗生物質が残留するか?という研究をしていたのですが、細菌の発育状態にあわせて、自分のスケジュールを組んでいました。実験チーム内での人付きあいが主になったこともあり、もっと広く人とかかわりたいと思ったのですよ。
教諭の仕事は福利厚生がしっかりしていると聞き、自分の時間を有効に使えるのではないかと考えたり、人間相手の仕事をしたいとも思い始めましたね。学生生活が終わっても学校に勤めることで、それまでと同じように季節を追えることもまた、教諭の仕事に魅力を感じました。
仕事はずっと続けようと思っていたので、教諭の仕事は育児休暇をきちんととれることも、選ぶ際のポイントになりました。
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