マンション管理って何なの? |
しかし、我慢しながら日常生活を送るのでは、一体、何のためにマンションを手に入れたのか分からなくなってしまいます。改めて、「マンション管理の重要性」を問いただす時期に来ているといえるでしょう。
そこで今回、シリーズで「マンション管理の基礎講座」を開講することといたしました。「面倒くさい」「よく分からない」と、マンション管理から逃げたい気持ちは分かりますが、半面、すでにマンションにお住まいの皆さんは、管理の重要性も十分認識しているものと察します。マンションで生活する以上、マンション管理を無視することはできないのです。そこで、記念すべき第一回目として「マンション管理って何なの?」か、一緒に考えてみたいと思います。
管理の「質」がマンション価値を左右する
今、「資産価値」の落ちないマンションが注目を集めています。不動産の鑑定評価が収益還元を基礎とする評価手法に変わったことで、「貸せる」「売れる」といったリセール・バリューのあるマンションが人気となっているからです。「割高」「割安」などという表現で、マンションの価値を評価しているビジネス雑誌を見かけた方も多いと思います。「利回りこそが、マンションのすべて」と言わんばかりの様相です。
しかし、資産価値とは、こうしたキャッシュフロー重視の収益価格による評価結果だけでは決まりません。今、申し上げたように「リセール・バリュー」がその1つであることは否定しませんが、マンションの資産価値はそれだけではないはずです。「行き届いたマンション管理」も資産価値に含まれなければならないのです。つまり、管理が行き届いているかどうかで、マンションの資産価値は大きく変化するのです。
マンション管理は「三位一体」によって形成される
しかし、“見た目”のきれいさだけがマンション管理ではありません。「ペット飼育に関する規定が明確になっている」「リフォームのためのルールが出来上がっている」、さらに、「消防設備やライフラインの点検が定期に行われている」「長期修繕計画があり、修繕積立金が毎月、予定通りに蓄えられている」「理事会が機能している」……… 居住者同士のコミュニティーとしての『ソフト面』、躯体(くたい)や設備などの『ハード面』、そして、忘れてならない管理費や修繕積立金など『マネー面(会計面)』の3つの側面が三位一体となってはじめて良好な住環境が形成されるのです。そして、この3面をコントロールすることこそが「管理」なのです。企業経営において「ヒト」「モノ」「金」が重要視されるように、マンション管理でも『ソフト面』『ハード面』『マネー面』それぞれが有機的に機能することが欠かせないのです。
やや抽象的な文章展開のため、読者によっては逆に「マンション管理は難しい」という印象を与えてしまったかも知れません。しかし、マンション管理の主体は居住者全員です。逃げることも隠れることもできません。「忙しい」と敬遠せず、積極的に関心を持つことから始めてください。居住者の意識改革こそが、マンション管理の第一歩となるのです。
【シリーズ】マンション管理の基礎講座
#1 マンション管理って何なの?(本コラム)
#2 管理組合の仕組みを知ろう
#3 管理会社との上手な付き合い方
#4 管理規約って何?その重要性を知る
【シリーズ】管理組合のマネープラン
1.マンション管理運営に影を落とす財政問題
2.企業の「思惑」で決まる修繕積立金の“裏”事情
3.「無知・無関心」による管理費の“不正”流用
4.修繕計画を自社の「売上表」と見る管理会社
5.管理組合と管理会社の「格差」を埋めろ!!